大阪桐蔭野球部の”スピードスター”は50m走タイムが「日本記録超え」!?

 甲子園への切符を目指し、全国各地で熱戦が繰り広げられ、続々と代表校が決まりつつある高校野球。出場が有力視されていた星稜(石川)、東海大相模(神奈川)は、チームに新型コロナ陽性者が出て、大会中に出場を辞退するといった衝撃のニュースが話題となったが、こちらも甲子園常連校の大阪桐蔭は25日に行われた4回戦を22対0で勝利を収めるなど、順当に勝ち進んでいる。

 今年の大阪桐蔭は4回戦で1発を含む3安打7打点を記録した主将・池田陵真外野手や、最速150キロのエース左腕・松浦慶斗投手、最速154キロ右腕の関戸康介投手らが今秋のドラフト候補と言われており、例年のように粒ぞろいの集団だが、中でも6番を打つ野間翔一郎外野手の経歴が異色だとして「中日スポーツ」などで取り上げられている。

 同紙が23日に配信した記事では、中学時代は山口東リトルシニアでプレーするかたわら、中学の陸上部に所属していたという野間の経歴を紹介。陸上部では県大会の三段跳びで3度優勝した経験があるそうで、足の速さはチーム屈指。なんと50メートル走のタイムは手動計測で5.7秒と報じられている。

 今春の選抜大会は1番打者で出場していたものの、西谷浩一監督は野間の勝負強さを買い、走者がいる状況で打席が回ってくるように現在は下位に回しているようだ。

 バッティングセンスも光る野間だが、やはり注目されるのは5.7秒という驚異的な50メートル走タイム。しかし、この記録に一部ファンからは「あの、50メートル走の日本記録は5.75秒なんですが…」「野球選手の5秒台はちょいちょい出てくるけど、そんなにおったら陸上100メートル走の世界記録破れるで」「ちゃんとしたタイムを知りたいです」などといったコメントが多数見受けられ、野間のタイムに違和感を覚える人も多いようだ。

「指摘があるように50m走の日本記録はあの朝原宣治が持つ5秒75秒です。17年に日本人史上初の100メートル走9秒台スプリンターとなった桐生祥秀も1月に自身のYouTubeチャンネルで50メートル走の日本記録に挑戦していますが、タイムは5秒83でしたからいかに野間が俊足なのかが分かるところ。

 ただ、陸上競技で50メートルのタイムを計る場合、採用される正式な測定方法はスタートの合図と同時に電気信号が流れて、計測が始まる電気時計を用いた”電動計測”ですが、野球部の場合はストップウオッチを持った人間による”手動測定”が基本となります。フライングを厳密に防止できる電動測定に対し、手動測定の方が正確性に欠けるため、手動測定の記録が速くなるのは常識で、陸上競技で記録を示すときには手動計測の場合、100m走では測定記録に0.24秒がプラスされる仕様となっています。つまり野間の5.7秒というタイムは手動計測のため、電動計測であれば6秒を切れるか切れないかというラインではないでしょうか」(スポーツ紙記者)

 50メートル走の日本記録は認知しているものの、測定方法次第でどれほどの差が出るのかを知らない層がこうしたツッコミをしているのだろう。しかし、今回の野間については記事中にしっかり(手動計測)と表記されているだけに、ここまでツッコまれるのは少々気の毒だ。

「ちなみに中学時代には陸上の全国大会で短距離2冠を達成し、サニブラウン選手を破ったプロ野球・日本ハムの五十幡亮汰が、中央大学時代に測った50メートル手動測定のタイムは5.42秒。100メートル世界記録保持者のウサイン・ボルトの50メートルタイムは5秒47秒で、こちらは世界最速の男を超えていますから、野間もまったく気にする必要はないですよ(笑)」(スポーツ紙記者)

 いずれにせよ、あの大阪桐蔭でレギュラーを張れている時点で野間がいい選手であることは変わらないだけに、その活躍を是非とも甲子園で見たいものだ。

(本多ヒロシ)

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