今夏の甲子園で高校野球の決勝戦まで本当に無事に開催できるのか、不安の声が高まっている。プロ野球では阪神-巨人戦で、巨人が29年ぶりに1点差で3連敗を喫した背景には、“異常な暑さ”がある。
巨人は東京ドーム3連勝から一転、甲子園で崩壊
巨人は直前の対DeNA3連戦(東京ドーム)を3連勝と勢いに乗って甲子園入りしたが、阪神3連戦では投打の歯車が狂った。3試合合計で31安打を放ちながら、得点はわずか3点。これには巨人OBも「非常事態だよ」と頭を抱える。
要因の一つと見られるのが、ナイター開催にもかかわらず、選手たちが次々と体調を崩した“甲子園の酷暑”だ。
阿部監督が嘆いた吉川、門脇、増田の離脱
7月3日の試合では、4番に起用されていた吉川尚輝がコンディション不良で欠場。守備での代役の門脇誠は脱水症状で両足がつり、5回で途中交代となった。さらに、吉川の代わりに4番を任された増田陸も8回の守備から退いた。
阿部慎之助監督は試合後、門脇については「準備不足」とチクリ苦言を呈したが「外の球場で、こういう暑さだし…」とコメント。東京ドームという空調完備の屋内球場とは異なる環境に、選手が“夏バテ”状態だったことを明かした。
プロが倒れる猛暑、甲子園で高校生は大丈夫なのか?
ナイターでもプロ野球選手が体調不良を起こすこの暑さに、夏の高校野球を巡る懸念が現実味を帯びてきた。
日本高校野球連盟(高野連)は、今年で107回目を迎える夏の甲子園大会において、史上初となる午後4時開始の開会式を導入すると発表した。高野連の担当者は「選手だけでなく、プラカードを持つ生徒なども考慮しての判断」と説明する。
しかし、これはあくまで“試験的”な措置であり、根本的な暑さ対策はまだ整っていないのが現状である。
熱中症リスクと大会運営に問われる安全対策
甲子園の酷暑は、選手や観客だけでなく大会全体の運営にとっても大きなリスクとなっている。プロですら対応に苦しむ環境で、成長過程にある高校生たちが酷暑の中で連戦を強いられることに、多くの関係者やファンが不安を抱いている。
今後の夏の高校野球大会が、選手の安全と競技の公正性を両立できるかどうか――高野連の本格的な対応が求められている。
(文:小田龍司)