大会3日の8月8日第2試合で激突した、天理(奈良)と山梨学院(山梨)。両高校とも甲子園大会の常連校だが、県予選の決勝戦はあまりにも対照的だった。
「天理、山梨学院は投打ともに高いレベルを誇り、県予選を勝ち上がってきました」(アマチュア野球記者)
天理は奈良県大会5試合でチーム打率3割9分3厘、エース・南沢佑音は全試合に登板し、「失点ゼロ」(27回3分の1)。山梨学院も4割2分9厘、本格派右腕の榎谷礼央、今夏急成長した山田悠希もいて、投打で圧倒。他校を寄せつけなかった。
強力打線と、プロ注目のピッチャー。両高校とも“強豪校の貫祿”は十分だったが、天理は県大会で甲子園出場の喜びの声を上げられなかった。
「天理は奈良県大会の決勝戦を終えた後、淡々と整列していました。『笑顔ナシ』と言ってもいいでしょう」
相手校は新型コロナウイルスの影響で大幅なメンバー変更を余儀なくされ、ワンサイドゲームになってしまったからだ。
「エースの南沢は今夏に懸ける思いが強いはず。肘のケガで投げられない時期があり、本来はスリークオーター投げですが、1学年先輩で日本ハムに1位指名された達孝太への憧れで、一時期オーバースローに転向。その後、監督の勧めでスリークオーターに戻しました」(地元メディア)
県大会準決勝で対戦した高田商に7回無失点と勝利したが、同校には昨年の秋季大会で敗れている。今夏の甲子園は、ケガや挫折を乗り越えて勝ち取ったものとも言える。
そんな南沢は、地元メディアにこうも語っていた。
「最後の夏に結果を出せたのは嬉しいですし、(奈良県大会の)初戦からゼロにこだわってきました。自分が点を取られなければ負けない」
県大会決勝とは対照的に、甲子園では2-1の緊迫した投手戦を制して、天理は2回戦に勝ち上がった。
(スポーツライター・飯山満)