ドジャース大谷翔平の元通訳で、銀行詐欺罪などで有罪判決を受けた水原一平被告が、アメリカ東部ペンシルベニア州にあるアレンウッド連邦刑務所複合施設に収監された。
連邦矯正局のウェブサイト「受刑者を探す」で氏名を検索すると、登録番号、40歳、アジアン/男性として、アレンウッド連邦刑務所に収監されていることが確認できる。釈放予定日は「2029年7月1日」と記されているが、刑期見直しがある場合には自動的に再計算される仕組みとなっている。
この刑務所は警備レベルの異なる3つの施設から成り、最もセキュリティが緩やかな「ロー・セキュリティ」には、フェンスが簡易的な寮形式の収容棟が並ぶ。ここでは非暴力犯罪者を対象に、職業訓練や図書館業務、キッチン補助などの日中プログラムが提供され、比較的自由度の高い環境が特徴だ。
「ミディアム・セキュリティ」では、二重フェンスで外出時間が限定されるなど、より厳しい管理体制で労働プログラムが行われる。一方、「ハイ・セキュリティ」は鉄格子と監視塔で囲まれた独房が並び、危険度の高い受刑者を収容している。
水原被告は2月6日の裁判で銀行詐欺と税務詐欺に4年9カ月の禁錮刑と約1800万ドル(約26億円)の賠償支払いを命じられて、収監に至った。一部では「獄中でいじめや暴力にさらされるのではないか」との懸念も示されたが、ロー・セキュリティ施設には凶悪犯罪者が少なく、受刑者同士の共同生活が基本で、暴力事件も稀なため、深刻なトラブルに巻き込まれる可能性は低いと見られる。
この区分の施設では、職業訓練や教育プログラムが重視され、更生と精神的整理を促すことを目的としている。同じロー・セキュリティ施設には、かつて大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件で逮捕された井口俊英氏も収監されていた。井口氏は服役中に自伝「告白」を執筆し、図書館業務や職業訓練を通じて再犯防止プログラムを経験。精神的再建の一助としたことが知られている。
水原被告もまた、こうした更生プログラムを活用し、ギャンブル依存や金銭感覚の崩壊からの立て直しを図ることで、服役後の社会復帰に向けた糸口をつかむことが期待される。
(ケン高田)