スポーツ界の“生きた化石”といえば日本高校野球連盟(高野連)だ。近年、酷暑下の熱中症、過多な投球数によるケガなど、選手の健康管理が喫緊の課題となり、NHKの中継では「無駄な外出は避けるよう」と注意喚起した直後に「続いては甲子園の熱闘です」というコントのようなアナウンスも飛び出す始末だ。苦肉の策として高野連が打ち出したのは「7イニング制」の短縮試合だ。
漫画家のやくみつる氏は“甲子園教”ともいえる甲子園球場至上主義に異議を唱える。
「会場は甲子園にこだわらず、使い道がなくて困ってる札幌ドームで開催すればいいんじゃないかと。どうしても甲子園でやりたいのであれば17時に試合開始、私の目算で言うと全部の試合が終わるのが朝の4時。これしか解決方法はございません。それくらいアバンギャルドなことをやってくれないかなと思いますね」
タイブレークや、クーリングタイムの導入など生徒の体のことを考えて対策を講じてきた高野連だが、全国にある屋根付きドーム球場を有効活用しない手はなかろう。
また高野連が設けた投手の投球制限は「1週間に500球」と、あってなきがごとし。
「高校野球で燃え尽きたらそれだけの体だったということでしょう。高野連はふるい。体質が古いのじゃなく、“ふるい”にかける体質なんでしょう」(やく氏)
一昨年春のセンバツで東北高校の選手が出塁時にペッパーミルパフォーマンスを敢行。もちろん元ネタは同年WBCで大活躍したヌートバーだ。審判は「パフォーマンスはダメ」と注意。東北高校の監督は「子供たちが楽しんでいるのになぜ大人が止めるのか」とコメントして話題になった。
「これには老害を感じざるをえない。学校の学ぶべき科目としてダンスがあります。私なんかはダンスなどという享楽的なことをなぜ学校で教えなきゃいけないのか、全員に相撲を取らせろと思っていたので。ダンスを教育とした時点で享楽的なものでも排除できなくなった。ダンスがOKなのに試合中のパフォーマンスを禁止にするのは逆行している気がします」(やく氏)
高野連いわく「試合を楽しみたいという選手の気持ちは理解できますが、プレーで楽しんでほしいというのが当連盟の考え方」云々とは笑止千万である。
「むしろ問題にすべきなのは名門高校の監督が教え子の契約金のなにがしかを懐ふところに入れる。いわゆるキックバックですよね。さんざん私腹を肥やしていると、むしろそっちのほうを騒ぎたてる必要があると思いますけどね。高野連としてはあずかり知らぬ問題でしょうけど、プロを巻き込んで慣行化してるわけですから」(やく氏)
高野連幹部の脳内で生成されている「野球道に邁進する球児」というものを一度公開し、説明してほしいものだ。
(つづく)