驚きの転向劇だ。新日本プロレス(棚橋弘至社長)は6月23日、東京五輪柔道男子100キロ級金メダリストのウルフ・アロンと専属契約を締結したことを発表。都内のホテルで行われた緊急記者会見で、ウルフ本人は複数年契約であることを明かし、「すべてをさらけ出したい」と意気込みを語った。
柔道界からプロレス界への転向は過去にもアントン・ヘーシンク(1964年東京五輪金メダリスト)や小川直也(1992年バルセロナ銀メダリスト)らが参戦したが、金メダリストの肩書きで新日本と契約するのはウルフが初となる。
会見ではすでに来年1月4日の東京ドーム大会(レッスルキングダム)でデビュー戦が予定されていることも発表された。この大会は、棚橋社長の現役引退試合でもあり、ウルフにとっては記念すべき“門出”の舞台となる。
「ウルフは5月からすでに新日の道場でトレーニングを始めている。まさに本気の“入門”です」(プロレス記者)
一方、新日本プロレスにとってもウルフの加入は救世主的な意味を持つ。今年の1・4東京ドーム大会の観客動員は2万4102人と、ピーク時の勢いを取り戻せていない。棚橋社長は24年の就任以来、「再び東京ドームを満員にする」というビジョンを掲げており、その象徴としてウルフを抜擢した形だ。
ウルフは世界柔道選手権(2017)、全日本選手権(2019)、東京五輪(2021)と“柔道3冠”を達成。さらに登録者12万人超の人気YouTuberでもあり、競技成績・知名度ともに抜群の存在だ。
ただし、そんな1・4東京ドームでの“プロレスデビュー”という
「デビュー戦が東京ドーム、しかも社長の引退試合と同じ舞台。話題性は十分ですが、結果と内容が伴わなければ厳しい目にさらされるのも事実です」(前出記者)
新たな格闘エンターテインメントの頂点を目指すウルフ・アロン。彼の一挙手一投足が、再びプロレス界に大きな風を吹かせることになるのか――注目が集まっている。
(小田龍司)