北朝鮮がウクライナとロシアの戦争に派兵したとされる問題。NATOのマルク・ルッテ事務総長は10月28日、北朝鮮兵士がロシア西部のクルスク州で活動していることが確認されたと明らかにし、アメリカ国防総省も北朝鮮が1万人の兵士を準備し、追加派兵の可能性もあるとしている。
「韓国情報院が初期の段階で、派遣されたのは最精鋭の特殊部隊である『暴風軍団』こと第11軍団だと発表したことで、どんな作戦を担うのかと警戒感が高まりました。ところが、テレグラムなどのSNSからもたらされた映像を見る限り、戦線に到着したとされる兵士は20歳そこそこのやせた若者ばかり。この報道により、見方は180度変わりました。北朝鮮がロシアからの軍事技術の見返りに送ったのは、精鋭でも何でもない『弾除け』や『人柱』であるとの観測が広がっています」(全国紙記者)
米メディアは、公開された映像から、派遣兵の年齢は10~20代初めの新兵とみられると分析。あどけない顔で身長は165センチ程度と小柄、体格はきゃしゃで栄養状態が良くないとも伝えた。そして30日には、早くも戦死者が出たとの情報も。
「信憑性のほどは分かりませんが、ウクライナ支援のNGOによると、25日にクルクスで交戦があり、北朝鮮兵は1人を残して全滅したとか。残った1人はモンゴル北部のロシア・ブリヤート共和国の身分証を持っていたそうです」(同)
不確定な情報が多いが、少なくとも年端もいかない若者が戦地に送られていることは間違いなさそうだ。韓国メディアなどは、こうした未成年兵士の1人に「ミンジュン」と名前を付け、その置かれた状況をストーリー仕立てで想像している。17歳のミンジュンは、軍に入隊後間もなく目的も分からないままロシアに送り込まれ、そこは無人のドローンがいきなり襲ってくる地獄のような現場だった…という内容だ。
「ミンジュンというのは、2000年代に韓国で生まれた男子に一番多い名前。つまり、その年代の男子が北朝鮮から派遣されているという現実が韓国の人にはよくわかるというわけです。これを日本に当てはめてみれば、『翔』や『颯』といった名前の若者たちが無理やり最前線に送り込まれているということです」(同)
であれば、まさしく人柱。それも国のためならまだしも、金王朝の維持のための人柱というのだから、たまったものではない。
(猫間滋)