菅義偉前首相が6月23日に出演したインターネット番組で、岸田首相に事実上の退陣要求を突きつけた。これで秋の総裁選に向け一斉に岸田降ろしが始まるのは確実だ。
菅氏は番組で、改正政治資金規正法を巡っての岸田首相の対応について言及。「首相が責任を取っておらず、不信感を持つ国民は多い」「このままでは政権交代が起きる」と危機感を示した上で「総裁選で新たなリーダーが出てくるべきか」との質問に「そう思う」としたのだ。
「そこでは誰を推すかについて『決めていない』としていましたが、周辺では腹の内はほぼ決まっていると見られています。いずれにせよ菅氏のグループは自民党内で80人近くいると見られるだけに、今回の発言は大きい」(政治部記者)
6月6日には「HKT」と称される萩生田光一前政調会長、加藤勝信前厚生労働相、武田良太元総務相らが集まり菅氏を囲んだ。ポスト岸田をうかがう茂木敏充幹事長は19日に菅氏と会食、菅氏の支援をあえて求めたと見られている。
「そんな中、菅氏は加藤氏か、石破元幹事長で絞っているのではともっぱら。自民党内での石破人気の低さは顕著ですが、次の総裁で解散総選挙となると、国民に人気のない総裁では自民は下野が必至となる。その点、加藤氏は温厚キャラではあるものの地味という弱点がある。実際、共同通信による自民党総裁選で次の総裁に誰がふさわしいかとの調査では、石破氏が26.2%でダントツのトップ。対し加藤氏は0.9%ですからね。ただ、岸田首相と距離を置くようになった麻生太郎副総裁も石破氏と合わない。菅氏が石破氏を選んだとしても、この辺りの調整はかなりの難題です」(政治ジャーナリスト)
菅氏の今後の発言からも目が離せない。
(田村建光)