2023年12月なって、ようやく次期大統領選への出馬を明言したプーチン大統領。当選は確実視されており、憲法上は12年間の在任が可能だ。そんなプーチン氏にとって最大の懸案事項といえばやはりウクライナ戦争だろう。だが、激化する戦争の最中に報じられたのは、愛人との逢瀬に使用されると言われる超豪華クルーザーの存在だった。(以下は11月27日配信記事を再録)
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ロシア国防省は26日、前日夜に首都モスクワ近郊にウクライナ軍の自爆型無人機が飛来し、24機を撃墜したと発表した。一方、ウクライナ空軍も25日、首都キーウほか6つの地域に現れたロシア軍の自爆型無人機75機のうち74機を撃墜したと発表。ロシア軍の自爆型無人機による攻撃では、これまでで最大規模だったという。
依然として停戦の糸口が全く見えない、ロシアによるウクライナ侵略戦争。前線では連日遺体袋が山積みになっているとも報じられるが、ロシアでは来年3月の大統領選を控え、再選を目指すプーチン氏が水面下である動きを見せているというのだ。
「ロシアの独立系メディア『ザ・インサイダー』によれば、ロシア政府がロシア軍徴集兵の家族によるデモを厳しく取り締まるよう、関係当局に指示を出したというんです。というのもここ数週間、ロシアではロシア軍徴集兵の配偶者らが『志願兵でない徴集兵は戦闘行為に投入されてはならない』『どんな手段を講じても夫や息子を連れ戻す』などとスローガンを掲げた大規模な抗議デモを複数の都市で行い、政府もかなり神経を尖らせています。当然、次期大統領を目論むプーチンとしても、これ以上デモが広がり続ければ選挙への影響も懸念される。そこで、デモ鎮圧を強化するよう関係各所に通達したと伝えられます」(ロシア事情に詳しいジャーナリスト)
そんな折も折、ロシアの反体制派であるミハイル・ホドルコフスキー氏が創設した団体「ドシエセンター」が、驚きの情報を明らかにした。プーチン氏と、愛人とされる五輪金メダリストの元新体操選手アリーナ・カバエワ氏が所有する全長71メートルの超豪華ヨット「ビクトリア」が、10月下旬からイスタンブールの造船所に停泊しているとして内部写真を公開したのだ。その目を見張るような豪華さにSNS上では、毎日兵士が死んでいく中での豪遊ぶりに怒りの声が上がっている。
「ドシエセンターによれば、この大型クルーザーはイスタンブールの造船所でメンテナンス中といい、船の値段は推定5000万ドル(約75億円)。登録は、プーチンの長年の盟友であるロシアの大富豪ゲンナジー・ティムチェンコの関連企業になっているようですが、事実上の所有者はカバエワ氏であることは間違いないとしています。さらに、ドシエセンター代表のホドルコフスキー氏はX(旧ツイッター)で、《(プーチンの)大統領給与は公式には年間約12万ドル。そのため自身の名義にはできず、ビクトリアの書類にはプーチンの名前はどこにも出てこないが、彼の個人的な船であることを示す多くの証拠がある》と投稿。カバエワ氏はしばしば友人や家族と共にビクトリアで休暇を過ごしている、として情報源は彼女の周辺だとほのめかしていますが、この時期にあえて豪華客船内部の画像を公開し、しかもネタ元はカバエワ氏周辺であると暴露する意味はなんなのか。そのあたりの背景にも注目が集まっていまです」(同)
そういえば、今年3月には「テレグラム」の匿名チャンネル「対外情報局(SVR)の将軍」によって、プーチン氏がカバエワ氏に対し「お前のバカな友人のせいで情報がダダ漏れになっている!」と罵倒したとの顛末が発信されている。現時点で、プーチン氏はまだ大統領選立候補を宣言していないが、出馬が既定路線と言われるなか、今後しばらくは反プーチン派らによるネガティブキャンペーンが続くことになるだろう。
(灯倫太郎)