【北朝鮮】金正恩の娘・ジュエが身長スラリ急成長で「子ども用栄養剤」が爆売れ

 2022年11月。初めて公の場に姿を見せた際には、白いダウンジャケット姿でいかにもあどけない少女、という印象だった金正恩総書記の娘とされるキム・ジュエ氏。しかし、昨今は高級ブランドのスーツや、ワインレッドのレザーコートにサングラス姿で颯爽と視察現場に登場するなど、日に日に後継者としての存在感を強めている。

 韓国情報院によれば、ジュエ氏は13年生まれと推定されるため、まだ12~13歳。だが、最近の北朝鮮メディアが伝える映像を見る限り、その身長は推定170センチのほどの正恩氏とほぼ同じか、それ以上に見える場面もある。男性に比べ女性の場合、この時期にぐんと身長が伸びることもあるのだろうが、わずか2年足らずでスラっとした姿でレザーコートを着こなす姿に、国民から熱い視線が注がれているという。北朝鮮ウォッチャーの話。

「北朝鮮の高級幹部たちが皆、同じ人民服を着ているのに対し、ジュエ氏の派手な服装は嫌がおうにも目を引くはずです。むろんその目的には、国民に後継者として彼女の存在を認知させることにあることは間違いない。そして、このあからさまとも思える露出には、後継者はすでにジュエ氏で決まり、という強い意思が現れているということです」

 専門家によれば、ジュエ氏を全面的に露出しているもうひとつの理由が、北朝鮮の若い世代の取り込みだという。というのも、今の北朝鮮では30代以上と、それ以下の世代、とくにZ世代の若者たちとの間には、考え方に大きな落差があり、若者たちの中には朝鮮労働党どころか、正恩氏の権威さえも認めていないものも少なくないのだとか。

「結果、彼らが韓国映画やドラマに影響を受け、韓国の文化や風習などを模倣している。正恩氏も、独裁国家が崩壊するパターンとして、外敵だけでなく内側からの要因があることは重々承知しているはずですからね。そのためにも、何とか飴と鞭を使い分け、若者世代の意識を内側に向けさせたい。そこで、華麗に着飾った次期『女帝』を必死にメディアに登場させていると考えられます」(同)

 不思議なことに、そんな思惑が功を奏しているのか、当初は多くの国民が飢餓で苦しむ中、「将軍様」の隣にいる若干ふくよかな少女の姿に違和感を持つ、といった声も多かったようだが、近年はそんな声も鳴りを潜め、女性らしく急成長したジュエ氏に憧れを持つ若者も目立つようになった、とも伝えられる。

「その理由の一つが、この2年ですらりとした長身に変化したジュエ氏の容姿にあるようです。今、北朝鮮では『身長促進用栄養剤』と呼ばれるサプリメントが富裕層たちの間で大ブームになっており、今月、平壌で開催された春季国際商品展覧会では、『身長を伸ばす栄養丸』や『集中力と記憶力を高めるサプリ』等々の、子ども向けのサプリを扱ったブースがズラリと並んでいたのだとか。その背景にあるのが、自分の娘をジュエ氏のように育てたいという親たちの願望だといわれています」(同)

 地方では現在も、日々の食事に困窮する国民がいる一方、栄養剤ブームの到来で高価な「身長促進用栄養剤」が爆売れするとは、いかにも独裁国家あるある、とも言えなくないが、首都平壌と地方との貧富の差が加速する北朝鮮。振り回された挙げ句に泣きを見るのは、常に何の罪もない一般国民なのである。

(灯倫太郎)

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