ビートルズが先鞭「他界したミュージシャン」の“新曲”ラッシュが始まる

 12月8日はジョン・レノンの43回目の命日。彼がリーダーを務めたビートルズで今も存命なのは、ポール・マッカートニーとリンゴ・スターの2人だけだが11月2日に新曲「ナウ・アンド・ゼン」をリリース。彼らの母国、英国のシングルチャートでは初登場1位を記録し、ビルボードの全米シングルチャートでは7位、日本でも27日付のオリコン週間ランキングで6位となり、世界中で根強いビートルズ人気を見せつけた。

 だが、気になるのは存命のメンバーが2人しかいないのに新曲が発表できたこと。それを可能にしたのは最新のAI技術だ。

「この曲はジョンが70年代後半に作詞作曲したものです。アーティストの死後、デモテープ音源を公開するケースはよくある話ですがジョンの歌声がピアノの音でかき消されてしまい、声だけを抽出することは難しかったんです。しかし、AI技術を使って彼の歌声だけを抜き出すことに成功。これにジョージ(※01年死去)が生前演奏した同曲のパート、新たに収録したポールやリンゴの演奏を加えて新曲として蘇ったのです」(音楽誌編集者)

 レコーディングとしては前代未聞の方法だが、今後、同様のやり方で世界中のバンドから新曲がリリースされる可能性が高いという。

「ミュージシャンは、世に出していない曲やレコーディング前の曲をいくつも持っているもの。とくにバンドの場合は、ボーカルが亡くなってしまうとそうした曲の発表が事実上不可能でしたが、今はデモテープから抽出したり、過去の楽曲からAIに学ばせたりすることで、“本人”の声で新曲をリリースすることができる。往年の伝説のバンドが本人名義で、今の時代に曲を発売することも理論的には可能です」(同)

 合成された歌声で新曲を発表することには賛否がありそうだが、音楽業界に新たな可能性を示したのは事実。そういう意味でもビートルズはやはり偉大だった。

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