プーチン氏がハマス・イスラエルの停戦に意欲、国際社会は「お前が言うか」の大合唱

 呆れてものが言えないとはこのことだ。

 ロシアのプーチン大統領が、イスラエルとハマスとの衝突は「中東の境界をはるかに越えて波及する可能性がある」と警告し、「ガザにいる罪のない人々を傷つけることは間違いだ」と述べたのは先月25日のこと。その後、プーチン氏はパレスチナ自治政府のアッバス議長や、イスラエルのネタニヤフ首相らと電話協議するなど、停戦の仲介に意欲を見せた。

 とはいえ、ウクライナとの1年9カ月にもわたる争いで血を流し続けてきた首謀者の発言に、国際社会からは「他国の停戦云々の前にまずは自分たちの紛争をやめるべき」との至極まっとうな声が噴出している。

「ロシアは兵器供与などを通じ、ソ連時代からアラブ諸国とは良好な関係を築いてきた。そのひとつが、ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスで、ハマスの背後にいるイランとは反米路線で一致、軍事協力を強化してきました。一方イスラエルには、旧ソビエトから移住したロシア系ユダヤ人が100万人もいて、いまだロシア国内にいるユダヤ人勢力も多数いるため、イスラエルの背後にアメリカがいるとはいえ、関係は悪くない。だからこそ、イスラエルはロシアのウクライナ侵攻があっても、ロシアに対する経済制裁には参加しないというスタンスをとってきました。つまり現在のロシアは、あちらを立てればこちらが立たず、どっちつかずになっているというわけです」(ロシア情勢に詳しいジャーナリスト)

 では実際のところ、プーチン氏が警告通りにイスラエルとハマスの停戦に向け、何らかのアクションを起こし、仲介者となる可能性はあるのだろうか。前出のジャーナリストはこう分析する。

「ロシアが、イスラエルとイランの全面戦争を望んでいないことは明白で、だからこそ現在のところは、イスラエル側ともハマス側とも関係を維持しています。ただし、『イスラムの連帯』という理念を掲げるイランがこの問題を契機に今後アラブ諸国の中央に立つことになれば、アメリカの影響排除というロシアの国益にかなう事にもなりますから、最終的にはハマス寄りに舵を切るのではないか。戦争の当事者が、平和的に仲立ちするピースメイカーの役割を務めるのにも違和感がありますからね」(同)

 イスラエルとハマスの紛争が激化する中、結局、プーチン氏が繰り返すのは「アメリカの中東政策が破綻しているという一例だ」「中東で一番の悪者はアメリカだ」という毎度お馴染みのフレーズ。ただし、今回の問題で短期的かもしれないが、世界の目をウクライナ問題から離すことができれば、ロシアとしては得をする。

 複雑に絡み合う、アラブ諸国とロシア、そしてウクライナ問題。果たして解決の糸口はあるのだろうか…。これ以上無駄な血が流されないことを祈りたい。

(灯倫太郎)

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