ベラルーシ政府当局は14日、ロシアから大挙移動を続けてきたワグネルが、ベラルーシ軍部隊と合流、軍事訓練を開始した模様を映像で公開した。それを裏付けるように、ベラルーシの独立系軍事監視団体「ガユン」も15日、ベラルーシ東部モギリョフ州オシポビチ近郊の軍事キャンプに、ワグネルの部隊とみられる約60台の車列が到着したと発表、いよいよベラルーシ国内でのワグネルの活動が本格化してきたように見える。
「プリゴジン氏の乱を収めるため、ルカシェンコ大統領がプーチン氏に提示した条件の一つが、捜査終結とワグネル戦闘員のベラルーシへの出国。ただ一部報道によれば、反乱に参加した戦闘員のなかには退役した兵士も多く、さらに8月まで休暇を取り身の振り方を模索している者も少なくないため、今回ベラルーシ入りした戦闘員の多くはアフリカで活動していた部隊だとしています。そして部隊を率いているのが、ワグネルの新たなトップと目される、ワグネル幹部のアンドレイ・トロシェフ氏だと伝えられています」(ロシアウォッチャー)
先月29日の「ワグネルの乱」直後、プーチン氏はプリゴジン氏を含むワグネル司令官ら35人とクレムリン内で会談したとされるが、その際プーチン氏がプリゴジン氏に代わる次の代表候補として挙げたのが、露軍の退役軍事であるこのトロシェフ氏だったと、米CNNは報じている。
「露有力紙『コメルサント』の記事によれば、プーチン氏は改めて『ロシアに民間軍事会社は存在しない』と語り、今後ワグネルが活動するためには国防省か治安機関の傘下に入らなければならない、と提案したといいます。ワグネル存続のため、司令官たちはやむなくこの提案を飲んだといいますが、プリゴジン氏だけは首を縦に振らなかったとか。政府筋の情報なのでどこまで信憑性があるかわかりませんが、ロシアとしてもウクライナ戦争を継続させる上では経験豊富なワグネル部隊は手放したくない存在。プリゴジン氏抜きでも利用したいという思惑があることは間違いないでしょう」(同)
その一方、元米陸軍大将のロバート・エイブラムス氏は、この「プーチン‐プリゴジン会談」自体が嘘であり、ロシア政府のでっち上げだと断言して波紋を広げている。エイブラムス氏はABCニュース・ライブに出演して、こう発言した。
「プリゴジンは身を隠すか、投獄されるか、何らかの処分を受けることになると思うが、二度と彼を見ることはないだろう。すでに死んでいるかもしれないし、もし生きているとしてもどこかの刑務所だ」
ロシアウォッチャーが、この発言に重ねる。
「確かにエイブラムス氏が指摘するように、会談の写真や映像は一切公開されていませんし、ロシアに戻った際に撮影されたという写真も、欠損しているはずの左手の薬指が映っていたことからガセ説が根強い。14日にはワグネル内のSNSでプリゴジン氏らしき男性がテント内のベッドに座っている12日付の画像が投稿されましたが、これも写真1枚だけで動画はありません。戦闘中には連日あれだけSNSに登場し、動画で情報発信していたプリゴジン氏が、無事なまま沈黙を守るとは思えない。動向が気になるばかりです」(同)
プリゴジン氏は生きているのか、はたまた…‥‥。
(灯倫太郎)