ロシア領西部国境に戦術核投下か!プリゴジン氏「自国領で核使用」発言が大波紋

 今月10日、詳細な言及を避けつつも、反攻着手を認めていたウクライナのゼレンスキー大統領。ウクライナ国防次官によれば、ウクライナ軍は11日に東部ドネツク州のブラゴダトノエという集落を露軍から奪還したと発表。露オンライン軍事メディアも、露軍の同所からの撤退を報じていることから、この前進が大規模反攻作戦の先陣であることは、間違いないだろう。

 そんな中、プーチン大統領が9日、ロシアのソチでベラルーシのルカシェンコ大統領と会談。ロイター通信などによると、来月7、8日にはベラルーシに戦術核兵器配備作業を始めるとプーチン氏が述べたとし、西側諸国に緊張を走らせている。

「ベラルーシへの戦術核配備について両国で合意したのは、プーチン氏が核配備を発表してから2ヵ月後の先月25日のこと。当初はベラルーシ国民の反対もあり、ルカシェンコ氏もなかなかGOサインを出せなかったが、結局はプーチン氏に押し切られる形で合意。すでにロシアからは核弾頭搭載が可能なイスカンデル弾道ミサイルシステムが、ベラルーシ側に引き渡されているとのこと」(軍事ジャーナリスト)

 設備が完了すれば、ロシアの核兵器が領土外に出るのは1996年以来、実に27年ぶりのこと。ベラルーシと隣接する、ポーランド、リトアニア、ラトビアは3国ともにNATO加盟国。つまり、ロシアの核兵器がいよいよNATOの東部境界目前に配備されるというわけだ。

「戦術核は大規模破壊を目的とした戦略核とは異なり、局地戦で使用するよう設計された核兵器であるため、相対的威力は小さい。しかし、ロシアはこれを2000個保有していると推定され、この数は米国が欧州に配備している数の10倍。今回のロシアの海外戦術核配備はベラルーシという1国を飛び超え、NATO加盟国を含む近隣他国に途轍もない恐怖感を植え付けることになったことは間違いありません」(同)

 そんな一触即発の中、今度はワグネルのプリゴジン氏が、テレグラム・ニュース「ドンバス・ナウ」のインタビューでとんでもない発言をして、波紋が広がっている。

「プリゴジン氏は、かねてからロシアによる戦術核使用の正当性を訴えてきましたが、今回はさらに『他国の領土に向かって核爆弾を投げるのは怖いが、自国領の街に投げることで、その威力を誇示することはできる。だから、ロシアは自国領内で小さな核爆弾を投げるという卑劣な考えを思いつくのではないか』という見解を述べたのです。これは、ロシアの西部国境にあるベルゴロドに、ウクライナ側に立つロシア人反政府勢力が部隊を進めている情勢を踏まえて語ったもの。ここに戦術核を使うとは荒唐無稽のようですが、このまま反転攻勢が拡大しさらに攻め込まれれば、絶対にありえない話ではない。前線で指揮をしていた影の実力者の発言だけに、国境付近で暮らす市民の間には恐怖と不安が広がっているはずです」(同)

 はたして、どんな恐怖の展開が待っているのか…。

(灯倫太郎)

*画像はワグネルのSNSより

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