1月23日、東京電力は6月使用分からの家庭向けの規制料金について、29.3%の値上げを経済産業省に申請した。2021年9月以降、電気料金の上昇が続いているが、ここに来ての大幅値上げにネット上では怒りの声が相次いでいる。
同日に東京電力が発表した23年3月期決算の業績予想では、燃料価格の高騰を受け純損益が3170億円の赤字になる見通しであることが分かった。燃料費の高騰は今後も長期化すると見られることから、同社の小早川智明社長は「苦渋の決断だがお願いせざるを得ない」と約3割の値上げを申請した経緯を説明。
値上がりを続けるエネルギー費に政府は23年1月から「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を開始し、家庭向け電気では1キロワット時あたり7円の補助金を交付し、今の電気料金のおよそ2割を負担している。しかし、29.3%の値上げが決定すれば、この補助金は打ち消されることとなり、平均的な家庭の電気料金は月2611円値上がりし、1万円を超える計算になる。節約しないと、4人家族で2万円を超える家庭も珍しくなくなるだろう。
「日本はエネルギーの大半を海外からの輸入に頼っており、ロシアによるウクライナ侵攻が収束せず燃料費が高騰する現状では、値上げせざるをえない状況であることは仕方ないと理解はできます。ただ、毎月1万円を超える電気代を払い続けるとなると、当然家計は苦しくなる。東電は企業努力をしているのか、値上げは本当に苦渋の決断なのか。疑いたくなるのも仕方ないかもしれません」(情報誌ライター)
なお、東北、北陸、中国、四国、沖縄の5電力はすでに値上げの申請を行っており、北海道も今後申請する予定だという。上がり続ける電気料金が落ち着く日はやって来るのだろうか…。
(小林洋三)