経営危機がささやかれるJR北海道の新会長が、JR東日本の子会社「ビューカード」出身の田浦芳孝社長に決定したと5月13日に報じられた。JR北海道の会長にJR東日本の出身者が就くのはこれで3代連続となる。両社の結びつきの強さが明らかになった。
JR北海道の平成30年度の決算は111億円の経常損失。3期連続で100億円を超える赤字となっている。
「JR北海道が赤字体質であるのは、国鉄が分割民営化される時点でわかっていたことです。そもそも国鉄は大阪を中心に東日本と西日本に分かれるはずでした。ところが、これだと東海道新幹線を持つ東日本ばかり大きくなり、格差が生まれてしまう。そこでより細かく6つに分けたんです。北海道は利用客が少ない割に、雪の影響などで保線にお金がかかる。北海道だけではやっていけないのは明らかでした」(鉄道ライター)
本来であればJR北海道とJR東日本はいっしょになるはずだった。そして3代連続でJR東日本出身者が会長に就任となれば、JR誕生から30年以上を経た今、再編成ということも十分考えられる。JR東日本がJR北海道を吸収合併するのではないかとの噂は根強い。
「吸収合併に問題は山積みですが、もし1つになれば利用者に与える影響は大きい。特に鉄道ファンが期待しているのは、クルーズトレインの北海道乗り入れです」(前出・鉄道ライター)
かつてはブルートレイン「北斗星」や「カシオペア」が東京・上野から青函トンネルを通り、北海道・札幌まで運行していたが、現在は北海道へ乗り入れていない。クルーズトレインの「四季島」や「カシオペア紀行」はJR東日本の圏内を走っている。それが北海道を走るとなれば、喜ぶファンも多いだろう。北海道には絶景の路線が多いからだ。
「ただ、その一方で採算が合わない路線はどんどん廃止し、バスに転換するでしょう。喜んでばかりいられないと思います」(前出・鉄道ライター)
鳴り物入りでスタートした北海道新幹線は毎年、100億円近い赤字を垂れ流している。何らかの手を打たないとJR北海道が窮地に陥るのは明らかなのだが、JR東日本がピンチを救う騎士になるのだろうか。