11月はJR東日本の喜勢陽一社長が6日の定例会見で、津軽線の蟹田―三厩間が27年春に廃止する方向で調整していると発表。また同社支社の土沢壇支社長も26日の定例会見で、房総半島を走る久留里線の久留里―上総亀山間の廃止を「できるだけ早く実現したい」と明かしている。
さらに27日には、津軽線と同じ青森県内の弘前中央―大鰐を結ぶ弘南鉄道・大鰐線も、27年度末での廃止の方針が判明。28日にはJR九州が、志布志線の油津―志布志間の地域交通のあり方について宮崎県と沿線自治体に協議を申し入れた。将来的な廃止・バス転換の提案が出る可能性は高いと見られている。
少なくとも志布志線以外の3区間は廃止がもはや避けられない状況だが、ここまで同じ月に発表が集中したのは異例のこと。ここ10年の間に廃止となった路線のほとんどが北海道だが、11月の発表はいずれも道外の路線だ。
北海道では留萌本線の深川―石狩沼田間が26年3月、通称“山線”と呼ばれる函館本線・長万部―小樽間の北海道新幹線の札幌延伸に合わせて廃止となることがすでに決まっているが、「これで道内の廃線ラッシュはひと段落する」とは鉄道行政に詳しい全国紙記者。では、今後は本州以南での廃線ラッシュが始まるのだろうか?
「その可能性はあります。北海道以外のJR各社はもちろん、地方の私鉄、第三セクター鉄道の中には、いつ廃止されてもおかしくない路線が多数存在するからです」(同)
例えば、22年8月の豪雨災害で被災した米坂線の坂町―今泉間が未だ不通のまま。JR東日本は直営を前提とした復旧は困難としており、そのうえで第三セクター化をはじめ、線路など設備を自治体が所有・管理し、運行をJRが担う上下分離方式、廃止・バス転換の各案を示しており、今後の自治体側との協議の行方が注目される。
「大雨などで深刻な被害を受けた場合、大赤字路線は復旧させずにそのまま廃止させる可能性が高い。津軽線や今年春に廃止になった根室本線の富良野―新得間がまさにそのケースです」(同)
11年ぶり全線復旧を果たした只見線の例もあるが、これは自治体側が上下分離方式を受け入れたから。鉄道会社だけに負担を強いる形では、本州以南のローカル線の廃止ラッシュは避けられないかもしれない。
※画像は、27年度末で廃止の方針予定の弘南鉄道・大鰐線