2月10日、山手線の内回りが約2時間半にわたって運休。朝のラッシュ時だったこともあり、通勤・通学中の5万6000人に影響が出た。原因は線路に生じたヒビで、一歩間違えば大事故につながりかねない。実は、ここのところ鉄道業界では、線路の不具合を原因とするトラブルが相次いでいる。
1月30日にはJR横須賀線の西大井―武蔵小杉間でレールが損傷。昨年11月に起きたJR函館本線の貨物列車脱線事故は線路の腐食、同10月のいすみ鉄道(千葉県)で発生した脱線事故はレールの下に敷く枕木の腐食がそれぞれ原因とされている。
線路の不具合、またそれを原因とする事故がわずか半年の間にこれだけ発生しているが、ここまで立て続けに起きるのはなぜなのか?
「誤解している方が多いようですが、線路を含む鉄道設備や車両などに起因する事故は長期的に見ればほぼ横ばいで推移しています。ですが、どの鉄道会社も線路などの設備を管理する保線部門は深刻な人手不足に陥っているのは事実。線路自体は丈夫であっても日々の点検と細かいメンテナンスが必要なんです」(鉄道業界に詳しい全国紙記者)
特にJRや大手私鉄以上に厳しい状況のところが多いのが地方の私鉄や第三セクター。いすみ鉄道は、以前から保線の不備について国土交通省関東運輸局から行政指導を受けており、保線に関して不十分であったことは否めない。
「JRや私鉄でも大都市圏を走る路線は、地方のローカル線より耐久性の高いレールを使用していますが、それでも今回の山手線のように不具合が生じることもあります。しかも、今後は鉄道各社で保線部門がさらに人手不足となるのは避けられない状況です」(同)
それが運行トラブルの多発という形で現れなければいいのだが…。