青春18きっぷ改悪、往復乗車券廃止の次に憂慮されるJR「ルール変更」

 一体、JRの運賃制度はどこに向かっているのだろうか。

 JRグループが「往復乗車券」と「連続乗車券」の発売を2026年3月をもって終了することを発表したのは12月2日のことだった。これにより乗車券の「往復割引」も廃止されることになった。

 往復乗車券は同一区間を往復する場合に、往きと帰りをまとめて発売するきっぷで、片道601km以上の場合は、往復とも運賃が1割引きとなる。隠れたメリットとして乗車券の有効期限が2倍になるため、旅程によってはスケジュールにゆとりを持たせることも可能だ。

 JRはインターネット予約サービスと交通系ICカードの普及を廃止の理由にしているが、JRグループ各社がそれぞれバラバラにサービスを提供している現状ではサービスをまたぐことができず、納得がいかないという人も多いのではないだろうか。

 往復・連続乗車券は国鉄時代からの制度で、これも時代の流れと言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、遠距離を単純往復する場合の値引きは利用者にとって大きなメリットだけに、なんらかの新しい割引制度が求められている。

 鉄道ジャーナリストが語る。

「今年10月には『青春18きっぷ』の利用回数が、連続する5日間と3日間になり、しかもバラ使用ができないという大改悪が発表され、非難の声が殺到しました。このところJRは、みどりの窓口縮小、18きっぷ改悪、往復乗車券廃止とネガティブなリリースが続き、さらに学生割引や一部企画商品についても変更する方針で、『次は途中下車もできなくなるのでは?』と懸念する鉄道ファンもいます。時代に即した制度の見直しは必要ですが、小手先の改変は利用者にとって必ずしもウエルカムとはならない。いっそ特急券と乗車券をセットで販売するなど、よりわかりやすい制度にしてもらいたいですね」

 JRは運賃を一体どのようにしたいのか。グランドビジョンを明らかにしないと、利用者の不満は膨らむいっぽうだ。

(ケン高田)

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