北海道では毎年のように駅や路線の廃止が相次いでいる。25年3月には、宗谷本線の抜海(ばっかい)、雄信内(おのっぷない)、南幌延(みなみほろのべ)、根室本線の東滝川、東根室の計5駅が廃止となることがJR北海道から発表された。
中でも「日本最東端の駅」として鉄道ファンの間で有名なのが東根室駅。24年12月に、記者は短い板張りの簡素な同駅を訪れた。
実は、この駅は、駅舎だけでなく、屋根付きの待合スペースもない。それでもホームや駅前には、これでもかというほど最東端を主張する看板や柱が設置されており、数人の鉄道ファンが写真を撮っていた。ただ、ここは廃止駅にありがちな秘境駅ではなく、根室市の市街地にある駅。駅の周囲には住宅地が広がっている。
JR北海道によると、19~23年の東根室駅の1日あたりの乗車人員は7.8人。同社は今回廃止を発表した各駅について利用客の減少を理由に挙げているが、乗車人員が同駅より少ない駅は根室本線の釧路~根室間に複数ある。このため、ネット上には《廃止にするなら他の駅を先にすべき》との意見もある。もっとも、駅が廃止になっても代替交通手段は用意されている。
東根室駅から約1.4キロの場所に根室高校があり、現在は登下校の時間に合わせて路線バスが運行されている。また、根室市では18歳以下の市民を対象に市内区間のみだが運賃は無料だ。
東根室駅から市内の中心部に歩いて向かう途中、散歩中の70代男性に話を聞いた。だが、この男性は「駅がなくなっても影響はないと思う。正直、利用したことがない」と語った。また、駅のある昭和町に住む60代の女性は、「車もあるし、市内の移動はJRより路線バスのほうが便利なので…」と話す。
ちなみに、駅廃止後の「新・日本最東端駅」は根室駅。根室は冬場でも雪があまり積もらず、根室~東根室間は徒歩30分程度。
1月下旬以降、同じ道東のオホーツク海沿岸には流氷が接岸し、冬の観光シーズンを迎える。新旧の最東端駅と流氷を眺めに足を運んでみるのもいいかもしれない。