4月9日、国税庁は新型コロナウイルスの感染拡大が飲食業界に大きな影響を与えているとして、酒類の持ち帰り(テイクアウト)販売ができるように「期限付酒類小売り販売免許」を設けたことを明らかにしたが、これにネット上では微妙な意見が相次いでいる。
「飲食店が料理をテイクアウト販売する場合には特別な許可は必要ありませんが、酒類のテイクアウトには酒類販売業免許が必要となります。しかし、外出の自粛によって居酒屋やバーなどは大幅な売上の減少に悩まされており、売上を確保するためにも酒類の販売を認めてほしいという声が高まっていたといい、国税庁は地元の税務署に申請すれば早期に6カ月間限定の免許を付与することを決めたとのことです」(飲食業界専門誌記者)
4月14日時点では、緊急事態宣言が発令されているものの、飲食店には時間短縮のみの要請のため、客足が途絶えたままでも営業を続ける店も少なくない。そのため許可を得て少しでも売上を確保したいところだが、そもそも飲食店で酒をテイクアウトする人は少ないとの見方も多い。
ネット上では、《飲食店で酒をテイクアウトする場合は、店で売ってる価格と同じになるのかな? だったらビールをわざわざ500円とかで買う人いる?》《飲食店でテイクアウトするより、コンビニやスーパーで買った方が絶対に安い。誰が利用するのか》《気休めでしかないし、こんなの売上にならないよ》《単に国税庁が酒税収入を確保したいだけ。ほんとに飲食店から酒のテイクアウトやりたいなんて声があったのか疑問》など厳しい意見が相次いでいる。
「確かに、飲食店が酒類テイクアウトを始めたところで売上キープにどれだけ貢献できるかは疑問。店内での販売価格より安くしてしまえば店内利用する人が減る可能性もありますし、生ビールやチューハイなどテイクアウト用の容器を用意するとなれば経費もかかります。そんなことよりも、飲食店には早期に営業の自粛を要請すると同時に、それに見合う給付金や休業補償について、より明確にすることが何より大事なことなのでは」(経営コンサルタント)
果たしてどれだけの申請があるのだろうか。霞が関の官僚が考えた救済策は「浮世離れ」としか言いようがない。
(小林洋三)