新ビジネスの立ち上げや市場拡充のため、クラウドファンディングを利用する者が増えている。お笑い芸人の成功例でいえば、キングコングの西野亮廣だ。
国内最大のオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」主宰者、絵本作家、スナック経営者、古本屋店主ほか、多くの肩書きを持つ西野。クラウドファンディングで昨年、合計調達金額が2億円を突破している。
13年から、さまざまなプラットフォームを構築してきた。18年に「『えんとつ町のプペル美術館』をつくりたい!」と掲げると、2404人もの支援者から6256万円が集まった。
これは芸人史上最高規模。ケタは下がるが、クラウドファンディングで活動資金を集めた芸人はほかにもいる。安田大サーカスの安田団長だ。
「団長は16年6月にSportie FUNDのクラウドファンディングによって、目標金額を超える資金を集めました。前年の7月、自転車好きで知られる団長は、参加したトライアスロンの大会で、バイク競技中に転倒。前頭部を強打して、全治3カ月の大怪我を負いました。プロジェクトはここからスタートして、世界大会出場のための資金を無事に調達できました。目標は叶わなかったものの、最終的には支援者とマラソンイベントで走りました」(芸能ライター)
団長と同じ松竹芸能所属芸人では、「キングオブコント」で12年、13年、15年と3度もファイナリストになっているうしろシティ。TBSラジオ「うしろシティ 星のギガボディ」でクラウドファンディングを利用して、昨年7月11日、「第1回ヘヴィメタル編み物世界選手権」に参加するため、フィンランド・ヨエンスーまでの渡航資金などを集めている。ラジオ名「GIGA BODY, METAL, from JAPAN」というユニットで参加した同選手権では、見事、優勝している。
「同じくフィンランドでいえば、さらば青春の光。森田哲矢は昨年、フィンランド発祥の超マイナースポーツであるモルックの日本代表選手になりましたが、クラウドファンディングで300万円の援助費集金に成功。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)や『天才てれびくんYOU』(NHK Eテレ)ほか、サンドウィッチマン、千鳥、博多華丸・大吉の人気番組で取り上げられ、話題になりました」(前出・芸能ライター)
クラウドファンディングで数千万円単位の金を動かすことができる“第二の西野”は、そう滅多に出てこない。しかしこのシステムには、マイナーをメジャー化できる夢とチャンスが詰まっている。YouTube発のフワちゃんが受け入れられる今の時代、クラウドファンディングから芸人がブレイクしても不思議ではない。
(北村ともこ)