資金調達の手段として、今ではすっかりポピュラーになった「クラウドファンディング」。起業に際する資金集めのほかにも、ファンによるアーティストの支援、地域貢献の社会活動まで、幅広い分野で活用されているが、なかには「学費」の援助を求めるものもある。ただし“学費クラファン”はなかなか成立しづらいのが実情だ。
2月11日放送の情報番組「グッド!モーニング」(テレビ朝日系)では、福岡から上京した中学3年生の女子生徒が、クラウドファンディングで高校の学費120万円を集めることに挑戦した舞台裏を放送。女子生徒は昨年5月、アーティストを目指して福岡から上京し、所属する芸能事務所の寮で生活していたが、高校進学にあたり都内に住民票がないことから私立高校にしか進学できないことが発覚。年間約100万円の学費をクラファンで集めることを思いついた。
女子生徒はSNSでダンスを踊るなど積極的に自己PRしたが、最終日までに約50万円しか集まらず、諦めかけたところ、最後の3時間で目標額の120万円を超える149万円を集めることに成功。カメラの前で涙を流して感謝したのだった。
クラファンは「残り3時間が重要」と言われるものの、取材陣が見守る中、本当にラスト3時間の瀬戸際で達成したことで、一部視聴者からは疑問の声も浮上。ネットをザワつかせている。
所属事務所の社長は「話題作りではなく夢を叶えたいけど、地方住みや金銭面で才能があっても出来ない子がたくさんいるのでこういうやり方もあるんだぞ!って勇気を与えたかっただけです」と説明。目標額に達しなかった場合は、「定時制か地元に戻る選択肢です」と語っていたが、「才能あるなら事務所が貸してあげれば?」という指摘もあった。
たしかに、2年目以降の学費はどうするのか…など、なんとなくモヤモヤを感じた人も多かったに違いない。
東京都は昨年度から私立を含めたすべての高校を対象に授業料の実質無料化を実施している。国も、現在の就学支援金の所得制限を撤廃して、全世帯に11万8800円を上限に支給する案を自公が示している。
女子生徒が学費を気にすることなく、学校に通えるようになるといいのだが…。
(ケン高田)
*写真はイメージ