広東省も対象に?「新型肺炎」“入国拒否”続々で日本企業が被る大ダメージ

 中国に端を発した新型コロナウイルスの影響が止まらない。政府の対策本部は2月12日、入国拒否の対象を感染源の湖北省に加え、浙江省にも拡大する方針を明らかにした。現在は湖北省発行のパスポートを持つか湖北省に滞在歴がある外国人の入国を拒否しているが、13日からは浙江省にも広がるもの。

「入国拒否リストに浙江省が加わることで、日本の経済界は大きな衝撃を受けています。湖北省にも判明しているだけで229社の日本企業が進出しており、武漢市には東風ホンダとその関連会社を含む200社が進出しているものの、内陸ということもあって日本への影響は限定的でした。それに対して浙江省は東シナ海に面した港湾都市の杭州市を抱えており、大都市の上海市にも隣接。進出企業も3000社以上とされ、パナソニックや東芝といった大企業も多く、影響を受ける日本企業は段違いに増えそうです」(週刊誌記者)
 
 浙江省では2月2日からは温州市を封じ込めのために都市ごと閉鎖。杭州市のほか唐代から貿易の歴史を持つ寧波市など、日本でも知られる都市が少なくない。その浙江省が入国禁止の対象になったことで、経済界ではさらなる甚大な影響を危ぶむ声も広がっているというのだ。

「政府機関の中国疾病予防管理センターが公開している『新型冠状病毒肺炎疫情分布』によると、感染の累計感染者数が湖北省に次いで多いのは隣接する河南省ですが、3番目は浙江省ではなく日本でもおなじみの広東省なのです。広東省には中国のシリコンバレーと呼ばれる深セン市があり、日系企業は1600社以上が進出。在留邦人は1万8000人を超えています。感染がさらに拡大して広東省も入国禁止の対象となったら、膨大な数の企業が対応に追われることは間違いなく、日本経済への影響も甚大になる恐れが否定できません」(前出・週刊誌記者)
 
 深セン市と香港を結ぶ出入境ポイントはすでに14カ所のうち10カ所が閉鎖。8日には中国本土からの入境者に14日間の強制隔離措置を発表しており、香港側では水際対策に必死だ。果たして日本が広東省を入国禁止リストに入れることはあるのか。経済界が注視していることは間違いないだろう。

(北野大知)

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