参政党の急伸に石破政権が危機感 都議選で議席奪取、保守層の支持が自民離れに拍車

 参政党の急伸に、石破茂首相が強い危機感を募らせている。6月28日に開かれた自民党全国幹事長会議で、石破首相はあいさつに立ち、7月3日公示の参議院選挙に向けて結束を呼びかけた。その中で、都議選における自民党の議席減について言及し、「厳しい結果を頂戴した。新しい政党が支持を集めているのはなぜかを党として分析し、参院選を戦う」と明言。都議選で3議席を獲得した参政党の勢いを強く意識していることがうかがえる。

 選挙アナリストによると、参政党は6月の主要メディアによる世論調査において支持率が急上昇。フジニュースネットワークの調査では、5月比で3倍となる3.9%を記録し、自民、立憲民主、国民民主に次ぐ第4位に浮上。読売新聞の6月調査でも1%から一気に5%に跳ね上がっており、自民党関係者に衝撃を与えているという。

 都議選においても、参政党候補者は激戦区である世田谷区、大田区、練馬区などで上位当選を果たし、自民・公明の候補が落選する結果を招いている。

 その勢いは都議選にとどまらない。6月に実施された兵庫県尼崎市議選、福井県あわら市議選では、いずれも参政党の新人候補がトップ当選を果たした。

 参政党の支持拡大の背景には、「日本人ファースト」を掲げる政策がある。男系男子による皇位継承の維持、選択的夫婦別姓制度への反対、外国人への生活保護支給停止など、保守的なスタンスを前面に出している。

 自民党関係者によれば、かつて安倍政権を支持していた保守層が、石破政権の「右往左往する政策方針」に失望し、より明確な理念を持つ参政党や日本保守党へと支持を移しているという。参政党は結党から5年間、着実に地方議員を増やし、現在は150人規模にまで拡大。国会でも5議席を有するなど、着実な成長を遂げている。

 自民党と公明党は、今回の参議院選挙における目標を「非改選も含めた参院過半数の維持」と定めている。選挙のない参院議員75人を含めれば、今回の選挙で50議席を確保すれば過半数は維持できる。しかし、選挙プランナーは「都議選で自民党の次点は42選挙区の約半数にのぼった。参院選で自民党が接戦になった時、つまり100票、200票が参政党に流れたら自公併せて50に届かない現象が起こる可能性もある」と指摘する。

 石破首相が危機感をあらわにした背景には、こうしたギリギリの票差が命運を分ける構図がある。

 国政選挙において、参政党の存在は無視できない勢力へと成長している。石破政権がこの新たな政治地殻変動にどう対応するのかが、自民党の命運を大きく左右することになるだろう。

(田村建光)

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