年の瀬が押し迫ってもうじき記念すべき令和元年も終わろうとしている。年末を迎えようとしているということは、あの国民的アイドル・グループ嵐の活動休止まで残り1年を迎えようとしているということにもなる。
さてそんな嵐は、来年末までの1年間の軌跡を追うドキュメンタリーシリーズが動画配信されることが決まった。タイトルは、「ARASHI‘s Diary‐Voyage‐」。Netflixで毎月、全世界独占配信される予定という。1回目は12月31日のおおみそかだ。報道によれば、毎月1話以上、全体で20話以上になる予定で、28カ国語の字幕付き、190カ国での放送になるという。
「ネットフリックスでの配信というところが最近のジャニーズ事務所らしい」
と語るのは週刊誌芸能記者。
「以前のジャニーズ事務所は肖像権の問題でネットでの顔写真の掲載を認めないなど、デジタル化社会に逆行した方針を貫くことで有名でしたからね。ところが昨年からユーチューブにジュニアのチャンネルを開設したり、山下智久がウェイボーとインスタグラムを、木村拓哉もウェイボーを始めてギャオのCMキャラクターを務めるなど、ようやくデジタルにも門戸を開放するようになったからです。11月には当の嵐が5大SNSを始めると会見で語り、シングル曲の全世界デジタル配信も決定されました」
会見で5大SNS解禁が語られたということがニュースになること自体が以前のジャニーズ事務所の在り方をよく示している。それが大きく変化したのが、上述したように昨年からのこと。やはりNetflixでジャニーズWESTのメンバー7人主演のオリジナルドラマが配信され、他のグループも含めた複数タレントもドラマで主演を演じている。以後、Huluや地上波・衛星放送局が共同出資するParaviなどにも事務所タレントの露出を増やしてきた。
「ネット進出に消極的だった事務所も、ジュニアのチャンネルがとても好調だったことでデジタル戦略が見直されたと言われています。若い滝沢秀明がタレントを引退して経営に関わるようになったことも寄与しているでしょう。うがった見方をすれば、SMAPを脱退した新しい地図のメディア本格復帰がAbemaTVだった影響も考えられます。また、ジャニーズタレントは近隣アジア国で爆発的な人気を誇ることでも有名ですが、その辺りの世界戦略もあるでしょう。山ピーやキムタクのウェイボー開設にそれが窺えます。国外に目を移せば、もはや日本の地上波がどうこうなんて発想は利かないですからね。ネットにミュージックビデオを、むしろ開放することで国の内外を問わずファンを獲得してきた韓流スターの戦略にも焦りを感じているのかもしれません」(同前)
そうした中、なぜNetflixだったのか。上述の通り、ジャニーズ事務所はとくにNetflixとの距離が近い傾向にある。
「ネットフリックスの勢いでしょうね。今年9月には国内加入者が300万人に達し、地上波テレビ番組の『テラスハウス』や『あいのり』を海外でもヒットさせた実績がありますから。それに今の若い子は芸能人は知らなくてもヒカキンは誰でも知っているように、娯楽は完全にテレビからネット動画に置き換わっています。今回のドキュメンタリーに『全世界独占配信』とあるように、ジャニーズ事務所はこれまでの国内のテレビ視聴者から完全にマーケット層をアップデートした結果と読み解くことが可能でしょう」(ITジャーナリスト)
ともあれ、ジャニーズとNetflixという両雄のタッグの行方は、今後のエンタメ業界の方向性を大きく左右しそうだ。
(猫間滋)