これで何度目? 東北新幹線でトラブルが多発するワケ

 6月17日午前中には宇都宮―那須塩原間を走行中の回送列車が走行できなくなり、上野―仙台間の上下線で運転が17時まで見合わせとなった東北新幹線。86本が運休し、5万4700人の足に影響が出たが、故障したのは10日に落成したばかりの最新型車両の「E8系」。JR東日本によると、詳細は調査中ながら補助電源装置から電力が供給されなくなったという。

 そのため、同社は原因が判明するまでE8系の単独運転の取りやめを発表。同型の車両が主力となっていた山形新幹線では全区間、または上野―福島間の一部区間の運休が続き、さくらんぼ狩りの観光シーズンを迎える沿線にとっては深刻な痛手だ。

 実は、東北新幹線ではここ最近トラブルが相次いでいる。数時間以上の運転見合わせが起きたケースで言うと、24年は1月23日と3月29日に架線故障による停電、4月4日の保守用車両の油漏れのほか、9月19日には「はやぶさ」と秋田新幹線「こまち」の連結がなんと走行中に外れている。

 そして、今年に入ってからも2月19日には午前中にパンタグラフの損傷、午後は別の列車で台車の異常という1日に2度のトラブル。さらに3月6日は「はやぶさ」と「こまち」の連結器が再び走行中に外れ、14日まで連結運転が取りやめになっている。

 いずれも内容こそ違うが、ここまでトラブルが多発する原因は何なのだろうか?

「それぞれ原因は個別に存在しますが、整備・保守部門の人員不足が影響している可能性があります」(公共交通問題に詳しいジャーナリスト)

 多くの業界で人員不足が囁かれているが、鉄道業界、それもJR東日本のような業界大手であっても例外ではないというのだ。

「新幹線ではないですが、JR北海道も以前からトラブルが多発しています。その結果、国交省の北海道運輸局と鉄道局が合同で指導を行う強化型保安監査体制が初めて適用され、今年5月から四半期に一度、立ち入り監査を受けることになりました。他の鉄道各社にとっても現時点では表面化していないだけで決して他人事ではありません」(同)

 これまで世界一と言われてきた日本の鉄道の安全性が揺らぐことにならなければいいが…。

※写真は、今回補助電源に不具合が生じたとされる新幹線E8系

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