現在、Netflixで配信中の草彅剛主演「新幹線大爆破」。同作は1975年に劇場公開された高倉健主演の同名のパニック映画のリメイク版で、一定速度以下になると爆発するという基本的なストーリーは同じだ。
ただし、今作は大きな違いがいくつかある。そのひとつが、東海道新幹線ではなく東北新幹線が舞台になっている点だ。実際、作品クレジットの特別協力の欄には、東日本旅客鉄道株式会社(※JR東日本の正式な社名)、グループ企業のジェイアール東日本企画の名前がある。
しかし、75年版では国鉄が制作協力を拒否。配給元の東映の初代社長・大川博氏は国鉄出身。両社はもともと良好な関係で、撮影協力にも応じていたが、やはりというか「爆破」というのがネックになったのだろう。公開前には当時の広報部長が配給会社の東映に抗議書を送り、3年間出入り禁止だったという。
「70年代は日本赤軍が世界各地でテロ事件を起こし、国内でも74年夏から映画公開2カ月前の75年5月にかけては東アジア反日武装戦線による連続企業爆破事件が発生。鉄道会社には脅迫電話が頻繁にかかってくるような時代で、この手の作品に協力できるような状況ではなかったんです」(映画ライター)
現在は当時ほどテロの脅威はないとはいえ、それでも鉄道会社にとっては対応が分かれそうなストーリーだ。なぜJR東日本は撮影協力に応じたのだろうか?
これについて「東洋経済オンライン」が同社からの回答を4月29日配信の記事の中で紹介。だが、同作に限らず撮影協力する場合の条件などを述べるだけで核心には触れていない。ストーリーへの関与も《何かを申し上げる性質のものではない》としている。
「鉄道会社の立場としてはコメントが難しいですが、JR東日本の協力が不可欠だったのは事実。現場からも『すごくリアル』という声は多く、鉄道マンへのリスペクトがすごく感じられる。実質的にアドバイザーや監修的な役割を果たしていたのかもしれません」(同)
前評判通り、日本以外の国々でもNetflixのランキング上位につけている「新幹線大爆破」。まだ観ていない人はぜひ観てほしい。また、すでに観た人は75年版もチェックしたうえで改めて見比べてみるのも面白いかも。