これは、相当深刻な事態だ。巨人が5月6日、本拠地・東京ドームでの阪神戦において1―7で敗れ、2夜連続の惨敗を喫した。ライバル・阪神に対して、開幕から3カード連続で負け越すのは、2008年以来17年ぶりという屈辱だ。
試合後、阿部慎之助監督は神妙な表情でこう語った。
「不名誉な記録みたいで……。指揮を執っているのは僕なので、申し訳ないという気持ちでいっぱいです」
阿部監督は、前日(5日)の阪神戦(1―10)で試合後のコメントをキャンセル。“会見拒否”は今季2度目で、昨季には3度あった。
「阿部監督にとっては、ある意味“ゲン担ぎ”なのかもしれません。昨季の3度、そして今季4月のDeNA戦(東京ドーム)を含め、取材拒否の翌日はすべて勝っていましたからね」(巨人担当記者)
しかし6日の試合では初回表、無死一塁の場面で中野拓夢のバントが三塁方向へ転がり、対応したのはサードを守るルーキー・浦田俊輔。だが、一塁への送球が逸れ、キャッチした岡本和真の左腕に打者走者が激突。岡本はその場で悶絶し、左肘筋損傷での負傷退場となった。長期離脱が避けられない見通しだ。
「本来ならサードは岡本が守るポジション。浦田の本職はショートです。坂本勇人が二軍調整中という事情もあり、阿部監督なりにやり繰りしているのは理解できますが、その采配が完全に裏目に出てしまった」(阪神OB)
今オフ、阿部監督は総額70億円とも言われる大型補強を断行した。だが、開幕からエース・戸郷翔征の不調、ベテラン・坂本のコンディション不良、そして阿部監督が獲得を希望した田中将大に至っては、すでに「無期限の二軍調整」が決まっている。
阿部構想では、巨人は開幕ダッシュで独走しているはずだった。しかし、今季好調だった4番・岡本の長期離脱が決定し、負の連鎖はさらに加速している。岡本に代わって坂本が一軍に緊急昇格となったが、完全な復調とはいかない状況だけに、さらなるドツボにハマりかねない。
(小田龍司)