「駅に不法侵入」から人身事故車両の「撮影自慢」まで…問われる「撮り鉄」の非常識行為

 列車の運行が終了した深夜に駅構内に侵入した疑いで、静岡県富士市に住む56歳の男が逮捕された。男は今年1月下旬、列車の写真を撮るために忍び込んだ「撮り鉄」と見られている。

 近年、撮り鉄の行き過ぎた撮影が社会問題になっているのは周知の通り。全ての撮り鉄がこの男のような不届き者ではないだろうが、ターゲットの列車を「何が何でもカメラに収めたい」という撮り鉄は少なくないようだ。

 そんな中、3月6日午前11時半ごろ、東北新幹線の「はやぶさ・こまち21号」の車両が、東京の西日暮里駅付近で連結部分が分離し緊急停止した。JRは東北、上越、北陸の各新幹線の運転を見合わせし、全面的な運転再開まで約3時間を要する大きな事故となった。

「ところが、これを絶好の『シャッターチャンス』と考えたのが一部の撮り鉄でした。事故直後から西日暮里駅のホームや線路脇の道路、階段に撮り鉄が大集合。その数は50~60人を超え、撮影場所を巡って口論が起きるシーンも見られました。撮り鉄は撮影車両に余計な物が映り込むのを極端に嫌うため、事故車両が撮影対象になるとは意外なようですが、実は数年前から、人身事故などを起こした列車を撮影するのが流行しているのです」(鉄道ジャーナリスト)

 SNSには、人身事故車両を撮影し、《ライトが片目でした》などと報告する撮り鉄も多く、中には先頭車両の貫通扉が凹んでいる写真をアップし、《血のような物がかすかに見えます》《スカートに血痕が付着していました》などと自慢げに報告する撮り鉄もいるという。

 不法侵入という犯罪ばかりか、人身事故車両の撮影を吹聴するとは…。撮り鉄の常識が問われている。

(ケン高田)

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