1月20日、米大統領に就任したトランプ氏。対中強硬派が居並ぶ新政権発足により、さらに先行きが不透明となった米中関係だが、就任式翌日の21日には、さっそく中国の習近平首席がロシアのプーチン大統領に連絡し、両者の間でオンライン会談したことが報じられた。
実はトランプ氏も就任前の17日、習首席に電話を入れ直接会談を行い、その直後に自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、《実にすばらしい会談だった。習近平国家主席と私は、世界をより平和で安全にするために、できる限りのことをする》とした上で、大統領就任100日以内に訪中して習首席と会談するだろうと綴っている。
とはいえ、おそらく当面は三者三様に腹の探り合いが続くことになるのだろうが、米中関係がここ数十年で最悪と言われる中、トランプ氏と習氏との間をうまく繋ぐのではないかと見られているのが、トランプ政権で新設された「政府効率化省」のトップに立つ、実業家のイーロン・マスク氏だ。
「マスク氏が経営する電気自動車大手『テスラ』は、コストダウン実現のため中国市場に根を張り、上海に巨大工場を構えるなど中国の自動車産業全体を活性化させてきた立役者。就任式に出席するため訪米した中国の韓正国家副主席も、真っ先にマスク氏と会談したと伝えられています。そんなこともあり中国とビジネス面でつながりが深く、李強首相など習近平指導部とも長年にわたり良好な関係を築き上げてきたマスク氏が、今後、米中関係のカギを握るのではないかといわれています」(国際部記者)
さらに今、中国でマスク氏以上に注目を浴びている女性が、マスク氏の母親でファッションモデルを務めるメイ・マスク氏だという。
現在、メイ氏は中国のアパレルブランド「JNBY」の広報大使を務め、さらにスマートフォン大手「OPPO」の広告塔としても活躍。中国版のインスタグラムでは70万人のフォロワー数を誇る人気者で、2023年から講演やイベント等で定期的に訪中している。
「メイ氏が中国で人気になったきっかけは、彼女の自伝『A Woman Makes a Plan(人生は私次第)』の翻訳本が2020年に出版され、ベストセラーとなったことに端を発するようです。同書には、彼女が夫であるエロール・マスク氏からの壮絶なDVを受け離婚。その後は極貧を経験するも、モデルの仕事をしながらイーロン氏を含めた3人の子どもを懸命に育て上げるまでの波乱に満ちた物語が綴られている。そのたくましくポジティブな生き方が今、中国人女性たちの憧れになっている。となると中国政府も放って置くはずもなく、まずはマスク母子を取り込むのが一番とばかりに、すでにメイ氏詣でが始まっているという話もあります」(同)
習氏にとって重要なパイプ役となるか。
(灯倫太郎)