習近平「独裁化」加速、外相に続きロケット軍トップ「更迭」で台湾侵攻への影響

 突如として発表された外相の不可解な解任をはじめ、ここ最近、習近平政権内での人事を巡る異変が浮き彫りになっている。
 
 1日付の中国人民解放軍の機関紙「解放軍報」によれば先月31日、北京で中国軍の最高指導機関、中央軍事委員会の上将昇格式が行われ、新たなロケット軍の司令官に王厚斌氏が、政治委員に徐西盛氏が就任したことを伝えた。しかし、両氏ともロケット軍に所属した経験がないことから、香港紙などは今回の司令官と政治委員との同時交代について「極めて異例」と報じている。
 
「ロケット軍は、弾道ミサイルや短距離ミサイル、核兵器の運用も管轄する、習主席が前のめりな台湾併合にも重要な組織です。ところが今回、ロケット軍新司令官に任命された王氏は、前職は海軍副司令官。ロケット軍での勤務経歴がなく、海軍一筋で来た同氏にとって、専門性の高いロケット軍を運用して、作戦指揮をとることは至難の業だと思われます。いつ起こるかもしれないと見られていた台湾侵攻にも大きな影響が出るのでは?」(中国事情に詳しいジャーナリスト)
 
 それではなぜ、ロケット軍トップは交代することになったのか。前司令官の李玉超氏は2022年1月に就任したばかり。わずか1年7カ月でクビになっている。その前任者が5年以上務めていたことを考えると、やはり突発的人事であったことがわかる。
 
「香港紙・サウスチャイナ・モーニングポストは、消息筋の談話として、李玉超氏と副司令官ら3人が汚職摘発機関の調査を受けたと報道しました。香港紙・星島日報も、ロケット軍の元副司令官が7月上旬に自殺していたと伝えており、今回の更迭劇の原因は汚職だった可能性が極めて高い。さらにはSNSの噂レベルですが、ロケット軍の機密情報を米国に流していたとの疑惑も持ち上がっています」(同)
 
 先月26日、人民解放軍西部戦区を視察した習主席は、党による軍統治と腐敗防止を強調した。その直後のトップ交代とあって、明日はわが身と震え上がっている軍関係者もいるようだ。習主席の独裁化を如実に物語る人事といえそうだ。
 
(灯倫太郎)

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