男の更年期障害「危ない深刻サイン」(1)頭痛、肩こり、多汗などの症状が

 ゴールデンウィークの10連休が終わり、心や体の疲れ・不調を感じている人も多いはず。しかし、5月病を疑うだけではまだ足りない。その原因は、もしかしたら更年期障害にあるかもしれないからだ。この季節に最も注目すべき健康リスクの落とし穴の原因と対策に迫る!

 4月の人事で営業部から総務部に異動になったAさん(48)。それから程なくして、いろんな異変が表れるようになったという。

「体は疲れているのに、気が張っているせいか、なかなか寝つけない。それでいて朝4時には目が覚めてしまうため頭はボ〜ッとしていて、朝起きても新聞に目を通す気にさえなれません。しだいに会社へ行くのがつらくなってきて、なんとか自分を奮い立たせて家を出るものの、電車を乗り換えるたびに駅のトイレに駆け込んでしゃがみ込む。そんな日が続くようになったんです」

 以前は部下のミスにも比較的寛容だったというAさんだが、最近では大声で叱り飛ばすことも多くなり、

「どなりつけたあと冷静になって『俺はいったいどうしちゃったんだろう‥‥』と自己嫌悪に陥ることが多くなりました」(Aさん)

 その変化は下半身にまで及んだ。もともと性欲が強く、月に数回のお店通いが楽しみだったが、ここ最近ではその気すらすっかりうせてしまった。

「それどころか、自分でする気にもなれないんですよ。これは仕事が忙しいせいだ、寝不足が原因だ、と自分に言い聞かせてはみるものの、一方、このまま自分は男じゃなくなっていくのでは、という不安でいっぱいでしたね」(Aさん)

 体調から推測してまず内科を受診したところ、医者からは「慢性疲労」と告げられたが、処方された内服薬も効き目はなかった。納得できずに心療内科を訪ねると、軽いうつ状態と診断されて、抗うつ剤と睡眠薬、抗不安薬など合計4種類を出されて、1日3回服用することに。

「ところが薬を飲むと、かえって頭がボーッとしてしまい、昼間も眠くて何もやる気が起きなくなってしまうんです。そんな時、テレビでたまたま『男性更年期障害』の特集番組を見ていた妻に勧められて、泌尿器科を訪ねました。そこで初めて、不調の原因は男性ホルモン(テストステロン)の低下による男性更年期障害であると診断されたのです」(Aさん)

 世間では、そろそろ5月病の心配がささやかれる季節を迎えているが、昨今では5月の連休明けに男性更年期障害を訴える中高年男性が増加しているのだという。

 男性更年期障害とは、加齢に伴う男性ホルモンの減少により、EDなどの性機能低下とともに頭痛、肩こり、ほてり、多汗などの症状が表れる疾患のことだ。

 男性更年期障害治療の第一人者である、医療法人医新会理事長の横山博美医師は、こう語る。

「女性の更年期障害は、女性ホルモンの分泌が急激にダウンする閉経前後に表れますが、一挙に表れるために症状が重く、周囲にも気づかれやすい。他方、男性も40歳を過ぎたあたりから、男性ホルモンであるテストステロンなどの分泌量が減ってくるものの、女性ほど急激に発症しないことに加えて、個人差が大きいため、なかなか気づくことが難しい。社会生活でのストレスの増大から症状を悪化させる場合があるので、早めの発見、治療が必要になります」

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