「次は、ラミレス監督の番」なんてことにならなければいいのだが…。
近年、成績不振で途中休養する監督は交流戦を節目に決断することが多い。18年・東北楽天の梨田昌孝監督、14年・埼玉西武の伊原春樹監督は交流戦の真っ最中にユニフォームを脱いだ。楽天が佐藤義則監督代行から大久保博元二軍監督に指揮官を代えた14年も、交流戦が明けた直後だった。
ペナントレース序盤で大コケしたチームが「まだやり直しがきく」ギリギリの時期が交流戦前後ということだろう。そこで気になるのが、ドロ沼の10連敗も喫した横浜DeNAベイスターズだ。
「ラミレス監督はデータを根拠に一人で作戦を組み立てます。野手を9番の打順に置く変則オーダーや、17年のクライマックスシリーズと日本シリーズで先発投手を救援マウンドに送った継投策、主砲・筒香を4番から3番に変えた攻撃的打順などがそうです。その作戦が的中しているうちは良かったのですが…」(ベテラン記者)
昨季後半から、ベイスターズベンチに妙な空気が漂い始めた。ラミレス監督の“別の一面”が見えてきたというのだ。ラミレス監督は「8番・投手、9番・野手」などの奇策を講じたあと、コーチ会議で「なぜ、こう考えたか」を説明する。これまでは、反対意見が出てもデータを根拠に押し切ってきた。
「コーチ陣の意見を聞き入れようとしない、頑固な一面もありました」(同前)
ラミレス監督の続投が正式に発表されたのは、昨季最終戦後。敵地・甲子園での一戦だったが、南場智子オーナーが駆け付け、ラミレス監督と直接面談している。そのとき、ラミレス監督は成績不振やコーチ陣との溝を叱責されると思っていたら、逆に励まされたという。この会談を受けて、ラミレス監督は続投の意気込みとして「自分自身が変わらなければならない」と語っていた。チーム一丸となるには、コーチ陣がもっと働きやすい環境にしなければならない。つまり、コーチ陣の進言にも耳を傾けると誓ったのだ。ところが——。
「DeNAベンチを見ると、ラミレス監督のそばには通訳しかいません」(同前)
“将来の監督候補”三浦大輔投手コーチが新たに入閣したのは、コーチと指揮官、選手と監督の繋ぎ役としての期待も込められていた。交流戦で浮上のきっかけを掴まなければ、ベンチの重苦しい空気が「監督人事権」を持つフロントまで広まってしまうだろう。
(スポーツライター・飯山満)