男の更年期障害「危ない深刻サイン」(3)訪ねるべきは泌尿器科だ

 男性更年期障害を克服するには、身体的・精神的症状を把握するのが第一。

 ストレス解消ならば一杯ひっかけるのが一番、という読者も少なくないだろうが、アルコールの飲みすぎも逆効果なのだ。

「特にビールのホップには植物性の女性ホルモン作用物質があるので、体の脂肪を増やすだけ。ビールを飲むのなら、できれば350cc程度に抑えておくほうがいい。それよりも、帰りは少し遠回りして歩くのがいい。軽く汗をかきながら知らない道を歩いて新しい発見をしたりすれば、それだけでも仕事モードから日常モードにリセットできるはず。ちょっとした工夫が更年期の予防につながるんです」(横山医師)

 そして、男性更年期障害の疑いがある場合は、訪ねるべき医療機関の診療科を間違えないこと。

「残念ながら、日本の医療関係者の中にはまだ男性更年期という概念を持っていない医師も少なくない。そのため、うちに来る患者さんの多くが、男性ホルモンの測定をされないまま、やみくもに精神安定剤を出されて沈み込んでくる、というケースが多いんです。男性更年期の主因はあくまでも男性ホルモンの減少ですから、心療内科でうつと判断されて精神安定剤や抗うつ剤を処方されると、症状を悪化させるケースもあります。ですから、もし不安な症状が表れたら、ED治療や前立腺肥大の治療を専門に扱っている泌尿器科を訪ねたほうがいい。そこで男性ホルモンの測定もしてもらえれば、症状に応じてきちんと対応してくれると思います」(横山医師)

 泌尿器科での検査でホルモン減少が確認された場合は、足りないホルモンを調べ、必要に応じて注射や塗り薬などの方法で体に取り込むホルモン補充療法が行われるという。

 そして意外や意外、日々の男女の交わりが、更年期障害のバロメーターの役割を担っている、と横山医師は指摘する。

「テストステロンが減少すれば性欲もガクンと落ち、当然、交りたいという気持ちがなくなります。つまり裏を返せば、中高年になっても性行為を維持できている人は男性更年期ではないということ。男女の営みは男性更年期障害の予防につながるんです」

 ただし、義務感でする行為はかえってストレスを増大させる可能性も。

「女性もそれを見抜くし、そんな行為では喜ぶはずがありません。お互いにいたわりあいつつ、自然の成り行きで‥‥という形がいい。そのためにも、日頃から真面目に考えて、パートナーシップをきちんとキープしておくこと。それが大切なことだと思いますね」(横山医師)

 充実した性生活を営んで、不安になったら迷わず泌尿器科に相談すること。つまり、下半身を見つめることが更年期障害を重症化させない最善策なのだ。

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