昨年に続いて2度目となる緊急事態宣言が発令された。国民生活が脅かされる事態も危惧されるなか、コロナ禍を生き抜くためにもお金は大切だ。知っていると1億円以上得をする「賢いお金の使い方」をファイナンシャルプランナーが伝授する!
コロナ禍により、新しい生活様式を模索している今だからこそ、知っておくと得をするお金の使い方がある。
今話題になっている「読むだけで1億円以上得する!お金ドリル88」(徳間書店刊)の著者で一般社団法人日本セカンドオピニオン協会代表理事の前田晃介氏(ファイナンシャルプランナー)が次のように話す。
「コロナ不況で収入が減り、将来に不安を抱いている人は多いと思います。ただ、お金の知識を身につけることで人生が大きく変わります。生活、趣味、資産運用など、さまざまなテーマで得する情報をまとめたのが、この本です」
同書は88項目にわたってマネー活用術がクイズ形式で掲載されているのだが、今回、前田氏がアサ芸のために9項目を厳選。コロナ不況を生き抜くためのおトクな知恵を伝授してくれた。
【1】持病の薬をジェネリックに変更すると、どのくらい安くなる?
高血圧や糖尿病などは長期間薬を服用するため、ジェネリック医薬品に変えるだけで年間1万円以上お得になるという。
「一般的に薬の開発は多額の費用と時間がかかるので、新薬にはこのコストが反映されています。一方、ジェネリックは新薬の有効成分を利用して開発されるため、お金と時間を大幅に抑えられるのです」
例えば高血圧の人が毎日1錠ずつ365日服用したとする。1錠あたりの単価は新薬「163.9円」。ジェネリックは安いタイプが「25.8円」。高いタイプは「59.3円」である。
「3割負担の場合、ジェネリック医薬品の安いタイプに変更すると1年間で8割以上、高いタイプでも6割以上、薬代が下がります」
【2】NHKの受信料を安くする方法がある?
「まとめて『前払い』する方法のほかに『団体割引』があります。団体割引とは、大手の携帯会社やケーブルテレビなど、所定の事業者を通して受信料を払う場合に適用される割引。事業者が個々の契約者を団体として取りまとめてくれるわけです。単純に2カ月ごとに支払うよりも団体割引で年払いにすると、年間4255円、20年間で8万5100円も安くなります」
これを知っている人は少ないのではないか。
そのほかに「家族割引」もある。学生や単身赴任など同一生計で離れて暮らしている家族が対象で、家を出ている家族の受信料が50%割引になるという。
【3】現金とクレジット払い、どっちが得?
「クレジット払いがいいですね。カードで支払うことでポイント還元を受けることができるからです。いわゆる『ポイ活』ですね。例えば4人家族の平均水道光熱費は月2万3731円なのでクレジットで払った場合、年間およそ2800ポイントたまります。そのほかに家賃や携帯電話代、プロバイダー料金、生命保険料など月の生活費25万円をカードで支払い、還元率1%とした場合、3年間でフランス(パリ)までの往復航空券代ぐらいになります」
ポイ活と聞くと女性が得意なイメージもあるが、中高年男性でもポイ活する機会がたくさんありそうだ。
GoToトラベルの再開のメドも立たない今、出かける機会が減った人にオススメの節約方法がある。
【4】車は購入するよりシェアする時代へ
「車両1500cc以下のコンパクトカー、ベーシックグレード、オプションはは違って店舗に行かなくてもいいし、ガソリンの満タン返しをする必要もありません。都内だと駐車場代がかからないのも魅力です」
【5】都心から地方への引っ越しで家計に与える効果は?
「テレワークが広がる中、地方への移住が注目を集めています。仮に東京都杉並区から、新幹線を利用して1時間程度で都心に出られる地方に移住したとすると、家賃コストの減少は1年間で158万円。10年間の累計で1584万円になります。ただ、移住には引っ越し代などの大きな費用がかかるうえに、都内の職場に出勤となれば交通費もかかります。安易に決定せずに、勤めている会社の当面の方針をよく確認しながら考えましょう」
一方、近年問題となっているのが地方の空き家問題だ。親が亡くなったあと、地方の実家を放置しておくと10年間でかかるコストは200万円以上に上るという。
「かかる費用の代表的なものは、固定資産税や都市計画税です。長年放置してしまうと『特定空き家』に指定され、固定資産税が上がったり、解体などの改善措置を求められた場合はさらに費用がかかります。将来どうするのか、早めに親族で話し合うことが大切です」
コロナ禍でテレワークが広がる今、思い切って実家に移住するのも手か!?
【6】保険の貯蓄型と掛け捨て型は、どっちがいい?
「何も戻ってこない掛け捨て型は損、と思いがちですが、30歳から65歳まで加入したとして、貯蓄型と比べると約700万円お得になります。バブル期は貯蓄型保険の予定利率が高く、保険を貯蓄代わりに使うことができましたが、低金利の今、貯蓄性の魅力は失われているのです」
すでに貯蓄型保険に加入している中高年の方は、子供たちに掛け捨て型を勧めてみてはいかがか。
コロナ禍の影響を受け、20年には前年比2.5倍の91社が希望退職者を募集した─。
【7】希望退職で退職金が上乗せされる場合、その話に乗るべきか?
「50歳で年収500万円の人が希望退職すると、退職金が1000万円上乗せされるとしても、60歳まで働いた場合の総収入は、約4000万円下がります。さらに、退職金の受け取り方にも注意が必要です。税金の面で考えると、一時金でもらったほうが得になることが多い。退職所得控除というのが使えるからです」
とはいえ、退職後の収入金額などによって、一時金で受け取らないほうがいいケースもあるので、一度、自分で計算してみることをオススメする。
さて、退職後のお金事情はどうだろうか。年金暮らしの人が大半だろうが、受給時期により、もらえる金額が変わってくる。
【8】年金の繰り上げ・繰り下げ受給の違いは?
「65歳未満で受給することを『繰り上げ受給』、66歳以上で受給することを『繰り下げ受給』と言います。繰り上げの場合、受給額は年に6%下がります。例えば、65歳で受け取る金額が年間180万円として、60歳から受給すると年間126万円。損益分岐点は76歳で、それ以降は、長生きすればするほど損ということになります。一方、繰り下げで70歳から受け取れば、年間8.4%増額されるため約255万円になります」
長寿が当たり前になった今の時代、繰り下げ受給が有効とも思えるが、自分のライフスタイルに合わせた受給方法を選択したい。
【9】親が急死‥‥残っている住宅ローンはどうなる?
「もし、親名義の住宅ローン1500万円が残ったまま亡くなってしまったとします。その場合は、一切返さなくて大丈夫です。一部の例外を除くと、住宅ローンには『団体信用生命保険』がついていて、ローンを借りている人が亡くなった場合は、この保険金で残債が一括返済されるからです。相続人には一切負担がかかりません」
知っているか、知らないかで人生が大きく変わるお金の知識。前田氏は最後にこう締めくくった。
「選択肢を増やすためには比較する情報を持つことが大切です。そして選択するためにはやはり、お金があることが大事だと思います。少しの得を積み重ねることで将来、大きな幸せをつかむことができると私は思います」
コロナ不況を乗り切るために、まずは、お金の使い方を見直してみよう。