そろそろ正月気分も抜けきった頃、読者の皆さんの中には、仕事始めなどで今年の抱負をスピーチさせられた‥‥なんて人もいるのでは。そんな時に「何を話していいのかわからない」「人前に立つと緊張して頭が真っ白になる」といった悩みをよく聞きます。
そこで今回、ご紹介するのは「スピーチ検定」。これはスピーチやプレゼンテーション能力をはかる検定。主催元はNPO法人「日本スピーチ・話し方協会」で、フリーアナウンサーの大橋照子さんが代表を務めています。
それではさっそく例題を見てみましょう。
〈問1〉緊張しやすい人がスピーチをする際、事前準備として不適切な行為は次のうちどれ? 【1】滑舌・発声練習をする【2】誰かに聞いてもらいながらリハーサルする【3】原稿を用意して暗記するほど読み込む【4】テンションを上げるために激しい筋トレをして交感神経を優位にする
〈問2〉話の聞き取りやすさとわかりやすさに気をつけながら、「過去の仕事の失敗から学んだこと」を2分以内で話してください。
実際の試験では、〈問2〉のように審査員の前でスピーチをします。例題の〈問1〉の答えは【4】。緊張を和らげるためには、深呼吸で副交感神経を優位にしておくといいでしょう。
正直、私もそれほど得意ではありませんが、依頼を受けて講演をする際に気をつけている点はあります。
それは「〜だと思います」「〜なはず‥‥」のように語尾を曖昧にせず、極力「〜です!」と断定すること。資格・検定の専門家の立場で話をする以上、自信を持って情報を提供している姿勢を示すことはとても大切ですからね。
名スピーチといえば、63年にキング牧師が公民権運動で人種差別の終焉を呼びかけた「I have a dream」のフレーズ。「私には夢がある!」という力強いメッセージで始まった演説は聴衆の心に響き、差別撲滅へと時代が一気に動き出しました。
ビジネスの世界にも優れたスピーチはあります。その最たる例がAppleの創始者・スティーブ・ジョブズ氏が、05年にスタンフォード大学で行ったスピーチです。
みずからの生い立ちや闘病生活、人生観を織り交ぜ、最後に締めくくったのが「Stay hungry, stay foolish」というフレーズ。その真意については諸説ありますが、「現状に満足せず、常識を疑え」といった捉え方をしている人が多いようです。
このスピーチから2年後の07年に発売された「iPhone」は世界で累計約20億台を売り上げ、Apple社の時価総額は2兆ドル(約209兆円)に達しました。スタッフを鼓舞するジョブズの「言葉の力」が大躍進をもたらしたとも言えます。
一流ビジネスマンになるために、スピーチ力を磨いてみては?
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鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は約700。