「安楽死を法律で認めろ!」の悲鳴も飛び出した”老後に2000万円”問題

 金融庁が6月3日にまとめた、「人生100年時代」を見据えた計画的資産形成を促す報告書の内容に、ネット民からも失望の声が収まらない。その報告書によれば、夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯が年金収入に頼った生活をした場合、毎月5万円の赤字が出ると試算。夫婦が95歳まで生きるには「約2000万円」の貯蓄が必要で、自助努力が必要であることを示したのだ。
 
「毎月5万円の赤字というのは、あくまで夫婦が健康に生活した場合のものだという。金融庁の話を鵜呑みにすれば、例えば怪我や病気をした場合、介護が必要になった場合、老人ホームに入った場合などでは、2000万円ではとても賄えなくなるということになります」(経済誌記者)

 ネット上はこれに敏感に反応。《年金は何のためにあるのか》《2000万円貯金できない人は落ちこぼれと言っているようなもの》《退職金を出さない企業も増えている中、2000万の貯蓄は無理ゲー》とした絶望感や、さらには《こうなったら積極的な安楽死を法律的に認めるべき》と深刻に受け止める声も上がっていた。
 
「厚労省の『平成30年就労条件総合調査 結果の概況』によれば、退職給付金制度がある企業は80.5%と、5社に1社は退職金がありません。また、“大卒の定年退職者の退職金の平均額”を見ても1788万円と2000万円に届かなくなっている。終身雇用も崩壊する中で、金融庁の報告は、あたかも国民を見捨てるような印象を与えてしまいました」(同)

 これを受け麻生太郎財務相兼金融担当相は、金融庁の試算について「あたかも赤字だと表現したのは不適切だった」としながらも、「豊かに暮らすためには足りない」と修正しているが、あまり救いにはなっていないようだ。

(小林洋三)

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