バイクと最新iPadに助成金100万円!? 飲食店「業態転換支援」に漂う不公平感

 これまで政府が推進してきた「GoToトラベル」キャンペーンが岐路に立たされている。

 GoToトラベルが新型コロナウイルスの感染拡大に拍車をかけているとして、東大などの研究チームや政府分科会などが警鐘を鳴らすなか、12月14日、政府は札幌と大阪に続き、東京と名古屋への旅行の一時停止措置をとると発表した。

 GoToトラベルの見直しにより、旅行業界が再び大打撃を受けることは必至だが、その一方で対象的なのが飲食業界だ。一部の自治体では「プレミアム付商品券」(特定の地域内で使うことができるお得な商品券)を発行し、活況が見られる飲食店などもある。

 都内の税理士は、とりわけ小規模な飲食店業界では、ある種の“コロナバブル”が起きていると語る。

「お酒を扱っている個人経営の飲食店などは、コロナの支援事業でかなり優遇されてきたといえます。個人店は国からの持続化給付金100万円、家賃補助の最大300万円に加え、東京都ではこれまで営業時間短縮か休業すれば50万円、50万円、20万円、15万円、40万円(支給予定)の協力金も受けとることができました。人件費コストを抱える大手居酒屋チェーンなどにしてみれば、これらの支援事業ははした金に過ぎませんが、個人経営のお店はいわば丸儲け状態。さらに東京都では、業態転換支援事業も行われています。これは飲食店での密状態を避けるためテイクアウト、宅配、移動販売などを始めるための初期投資の一部を都が負担するというもので、最大100万円が支給されます。しかし、これは実は抜け道も多い支援事業だと言われています」

 都内(23区外)で小規模な民宿を経営するAさんは、こうした飲食店優遇の制度に不満を露わにしている。

「近所の居酒屋の店主は、業態転換支援事業で『デリバリー用にバイクを買って私用にしてもごまかせる』『Wi-Fi設置費も出してくれるなんてラッキー』『デリバリー注文用に最新iPad買っちゃおうかな』なんて自慢げに喜んでいましたよ。そもそも小規模な飲食店の場合、常連客が強いからコロナだろうが来てくれる人はたくさんいるため、協力金を貰うか普通に営業するか“選べる”立場だが、宿泊業はコロナによる観光客減の影響をモロに受ける。うちには特に食堂なんて立派なものはないが、宿泊客には居間で料理を提供しているので、ひょっとしたら業態転換支援を受けられるかと思って先日『東京都中小企業振興公社』に電話してみたが、『ホテルのように飲食スペースが別に設けられていないと難しい』と担当者に言われてしまった…」

 もっとも、各種助成金の不正受給には、違約加算金の支払いや事業者名の公表、さらには刑事告訴など厳しいペナルティが科されることになるが、コロナで厳しいのは飲食業界だけではない。この不公平感が爆発するのも時間の問題なのかもしれない。

(橋爪けいすけ)

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