「風営法業種にコロナ休業補償」でも性産業キャストを救えないワケ

 厚生労働省が新設した助成金《新型コロナウイルスの感染拡大による一斉休校に伴う休業補償》において、艶系サービスを提供するキャストが対象外になっている問題が波紋を呼んでいる。同助成金は学校が休校になったことで仕事を休まざるを得なくなった保護者への休業補償を定めた制度だ。現段階では1人あたり「日額8330円」を上限に支給することになっている。

 同助成金に関して、加藤勝信厚生労働相は4月7日、当初は対象外としていた「風営法」関連の業種についても「助成の対象とする」と明言。これによりバーやナイトクラブなど風営法で定められた業種の従事者も助成金を受けられるようになった。そのため一部には、艶系サービスの従事者も対象と報じるメディアもあるが、実際にはいわゆる“性産業キャスト”は対象外のままだというのだ。

「性産業キャストは従業員ではなく個人事業主のため、補償が行き渡らないとの解説もありますが、問題はそこではありません。そもそもほとんどの性産業キャストは、統計上は『無職』なのです。彼女たちは業者からギャラをもらっているものの、収入として確定申告している割合は1%にも満たないという説もあります。それゆえ、無職の人に休業補償が発生するはずもなく、助成金制度の対象にならないのも仕方ないという見方もあります」(男性誌ライター)

 この話が本当であれば、性産業キャストの大半は「脱税状態」ということになるが、行政側は性産業キャストを取り巻く様々な状況などを考慮して、あえて見逃しているのが実情だという。通常ならそれで上手く回っているはずの仕組みが、新型コロナウイルス禍という未曽有の事態に際しては裏目に出てしまったということか。

「助成金を支給するためには彼女たちを労働者だと認定する必要がありますが、そうなると脱税を見逃すことができなくなり、莫大な追徴課税が発生するなど本人たちに大きな不利益が発生するのは明らか。そもそも助成金をもらうためには収入が減ったことを証明する必要があり、それもまた非現実的な話です。そのため性産業キャストたちは緊急事態宣言のさなかにも仕事を続ける必要があり、今でもほとんどの無店舗型艶系サービス業者は営業を続けているのが現実。彼女たちは、国難と言える状況の中でさえ、グレーゾーンであり続けることを強いられています」(前出・男性誌ライター)

 どんな仕事であれ、新型コロナ禍が早く収まってほしいと願う気持ちは一緒だろう。

(北野大知)

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