「鳥貴族」が絶賛浴びる「基本給3.1%引き上げ」に意外評価も

 6月17日、焼き鳥チェーン大手「鳥貴族」を運営する鳥貴族ホールディングス(HD)は、8月からグループ従業員約850人の基本給を3.1%ベースアップすると発表した。今年4月に実施した値上げの増収分を従業員に還元するといい、ネット上では称賛の声が相次いでいる。

「同社によれば、『従業員の待遇改善に取り組むことが、お客様へ提供する商品・サービスの品質の向上、ひいては企業価値の向上につながる』として、全国転勤がある総合コースの社員は月1万円、地域限定の転勤がある地域限定コースの社員は月8000円が増額されるといいます。同社は4月に値上げを実施したものの、6月10日に発表した2022年7月期(21年8月〜22年7月)連結業績予想では4期ぶりの最終黒字に転換すると予想されていて、収益増の一部が賃上げに充てられるとのこと」(飲食業界関係者)

 これにネット上では《日本人の賃上げのために値上げした企業は初めてではないでしょうか。素晴らしい決断》《鳥貴族は国産にもこだわっているし、日本経済のことを本当に考えてくれていると感じる》《世の中の流れに合わせて柔軟に対応できる企業。利益優先じゃなく、人を大切に出来る会社だと思う》《鳥貴族は円安の影響をあまり受けていないと思うけど、それでもこのタイミングでの賃上げは評価したい》など称賛の声が数多く寄せられている。

「鳥貴族HDは今年4月に値上げを発表した際にも『従業員の採用・教育や待遇の改善に取り組み続けていく』と宣言していたことから、まさに有限実行ということです。ただ、黒字転換が予想されているものの、国からの助成金の影響も大きいと見られ、ベースアップの財源は4月の値上げ分を充てるというのは、少々アピールが入っているとも言えます。ネット上には《賃上げも素晴らしいけど従業員を増やして現場の負担を減らしてあげることも重要》といった指摘も見られます。今後は採用や教育の部分にもぜひ力を入れていっていただきたいところですね」(経営コンサルタント)

 いずれにせよ、他の企業にも賃上げが波及していくことを願いたい。

(小林洋三)

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