「吉野家」30億円超の黒字に大転換でも素直に喜べないワケ

「吉野家」や「はなまるうどん」など国内外で150店舗を閉店し、コロナ下の大苦戦が伝えられていた吉野家ホールディングス(HD)だが、10月13日に発表した2022年2月期第2四半期(2021年3月1日~8月31日)の中間連結決算では最終利益が31億円となり、前年同期の57億円の赤字から黒字に転換した。見事な復活劇のようにも思えるが、今後も厳しい状況は続くと指摘する声もある。

「同社によれば、売上高は前年同期比で9.4%減となったものの、コスト削減、原価や販売管理費を抑制したことにより、『前年同期に比べて営業損益は66億9300万円改善し、黒字化した』と説明。不採算店の大量閉店や『京樽』を売却したこともあり、感染拡大防止協力金や雇用調整助成金などの助成金等収入を計上したことも決算に好影響を与えたとみられます」(経済ジャーナリスト)

 同日には通期予想(2021年3月1日~2022年2月28日)の修正も発表され、最終利益を前回発表時よりも27億円多い47億円に上方修正したことも明らかにした。一見、好調のようにも思えるが、吉野家HDにはこれから険しい道のりが待っているという。

「同社の核となる『吉野家』も今期はこれといった爆発的ヒット商品はなく、前年同期比1.1%の減収と売上自体は落ちていますし、決して良い状況とは言えないでしょうね。ぶっちゃけてしまえば、助成金収入が41億円以上入ったのが黒字化の最たる要因でしょうし、“吉野家復活”とするにはまだ早いのではないでしょうか。しかも、原油価格の高騰によって今後は物流にも影響が出てくる可能性があり、なにより世界的な需要拡大やコロナ禍での人手不足によってアメリカ産牛肉の価格が大幅に高騰しています。ライバルの『松屋』も『プレミアム牛めし』を『牛めし』に一本化することで実質的な値上げに踏み切っていますから、むしろこれからが正念場となるかもしれません」(経営コンサルタント)

 ネット上では黒字化した吉野家HDを称賛する声が多くみられるが、いつまでもこの状態は続かないかもしれない?

(小林洋三)

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