「パラサイト」4冠達成で日本のアカデミー賞候補「翔んで埼玉」への影響

 まさかの主要部門総なめ。日本時間の2月10日に世界中に激震が走ったのが、世界最大の映画の祭典「アカデミー賞授賞式」。数々の話題作が顔を並べる中、韓国映画「パラサイト−半地下の家族−」が脚本賞、監督賞、作品賞に国際長編映画賞を総なめにするという快挙を成し遂げた。

「前評判では、全編ワンカット編集で話題の戦争映画『1917 命をかけた伝令』や、日本でも大ヒットしたダークヒーロー『ジョーカー』などが作品賞で本命視されていました。ところが蓋を開けてみると、脚本賞、そして監督賞でボン・ジュノ監督が受賞。『パラサイト』を大穴に推していた映画ファンも、作品賞に選ばれると驚きの声をあげたようです。格差社会にメスを入れたとはいえ、エキセントリックでクセの強い独特の作りだった『パラサイト』が本場アカデミー賞の主要部門を独占したことで、同じアジアの日本映画界にもチャンスがあることを証明してくれましたね」(エンタメ誌ライター)

 一方で、この韓国映画界の歴史的快挙を受けて、日本の映画ファンの間で不安の声もあがっているという。

「3月6日に日本アカデミー賞の授賞式があります。本場のスケールとは比べものにはなりませんが、それでも日本最高の映画賞。『パラサイト』のフィーバーもあって、例年以上に注目される可能性が出てきました。そこで不安材料になっているのが最多12部門にノミネートされている『翔んで埼玉』。先日の地上波放送でも16.7%の高視聴率を叩き出して、人気のほどを証明しましたが、それでもお隣の韓国映画が世界中で認められた直後に、日本は『翔んで埼玉』でいいの?という声がチラホラ聞こえていますね」(前出・エンタメ誌ライター)

 SNS上でも「日本は韓国に一気に突き放された」「パラサイトの受賞に納得できるかどうかというアンケートをヤフーがやってたけど負け惜しみにも程がある」「本場の作品賞が『パラサイト』で日本は『翔んで埼玉』でいいのか」「社会派の『新聞記者』に逆転勝利もありか…」「日本アカデミー賞はパラサイトを外国映画部門にもノミネートしてない」「今年にかぎって是枝監督の映画がないのが痛い」など、さまざまな声が飛んでいる。

 とはいえ、「パラサイト」の受賞で「翔んで埼玉」の価値が落ちるわけではない。どっちも素晴らしい作品という評価でいいのだろう。

(塚田ちひろ)

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