トランプ大統領は日本よりベトナム重視か!? 私邸に招いたホーチミンの女性億万長者

 今、世界はトランプ米大統領が矢継ぎ早に発する高関税やウクライナ停戦をめぐる仲裁案を固唾を飲んで見守っている。そんな中、ひそかに注目を浴びているのが、ベトナム政府とトランプ一族企業の急接近だ。日米のシンクタンク関係者の間では、トランプ大統領が従来の日米関係重視から、そろりと軸足を変えつつあるのではという見方もある。

「トランプ大統領の一族が運営する企業が15億ドル(約2240億円)を投じて、ベトナムに国際会議も開催できる高級リゾートホテルとゴルフ場が一体となった複合施設を現地企業と共同開発する。3月には、ベトナムのファム・ミン・チン首相とトランプ一族企業トップが会談、プロジェクト推進を確認しあった。このプロジェクトは、トランプ氏自らが大統領選挙以前から進めていた肝いり事業だ」(商社関係者)

 同関係者によれば、トランプ一族企業はこの事業を27年3月までに完成させ、ベトナムで同年開催予定のAPEC首脳会議に使用する方向だという。

「今回の事業とあわせてトランプ一族企業はベトナムで第2、第3の事業構想も持ち、さらに数千億円規模の投資を計画しているという話も飛び交い、ベトナム全土に活気がみなぎっている」(同)

 トランプ政権がベトナムを重んじるのは何も自分の企業との関係だけではない、と指摘するのはシンクタンク関係者だ。

「日本ではアメリカ大統領選直後、石破首相がトランプ氏と会うのに四苦八苦した。そのころベトナムの格安航空会社『ベトジェット』の社長兼CEOでベトナム初のビリオネアであるグエン・ティ・フォン・タオ氏は、1月9日から11日まで米国でおこなわれた『ベトナム友好サミット』開催中にトランプ氏の私邸を訪問、トランプ氏はじめ世界各地の超一流企業家らと会談していた」

 タオ氏といえばトランプ政権1期目の2017年、トランプ氏の要請を受け米ボーイング社に200機の航空機を発注して世界の度肝を抜いた女性経営者だ。

 そのタオ氏、トランプ氏の2期目にも駆けつけ、新たに数兆円のアメリカ投資を確約したと言われている。以前のボーイング社などとの契約や投資と合わせればその額は10兆円規模にもなる。

「かくして、ベトナムは対米輸出も急増しているが経済成長率が23年IMF調査で約5%と順当、さらに今年は8%をうかがう勢い。未来のアメリカへの投資、そしてアメリカからの投資も大いに期待できる急成長国となりつつあるのです」(同)

 翻って日本はといえば、孫正義氏のソフトバンクグループがアメリカ企業などと3社で15兆円の投資を示したものの、経済成長率は1.68%(IMF調査)と低空飛行で魅力が薄い国となりつつある。

 霞が関関係者はこう指摘する。

「3月28日、ヘグセス米国防長官はアジア歴訪の一環でフィリピンのマルコス大統領と会談した。そこで米軍装備の強化を伝え、フィリピンを対中戦略の重要拠点とする姿勢を打ち出した。フィリピンのすぐ近くにはベトナムがある。一方でトランプ政権は3月30日の日米防衛相会談で、ひとまず従来の日米連携強化維持を示し日本をホッとさえたが不安は消えない」

 不安が消えない理由はこうだ。

「トランプ氏は『アメリカは日本を守らなければならないが、日本はアメリカを守る義務はない』などと不満タラタラの姿勢のまま。ベトナム、フィリピンなど若い人が多い国と比較して高齢化が進む日本がかつての勢いがないことで、トランプ氏の日本への期待が薄らいでいるようにも見える」(同)

 先の商社関係者は「石破政権には経済成長の手をバンバン打ってもらって、トランプ一族企業が日本投資に駆けつけるぐらいの国にして欲しいものだ」と指摘する。
 
 ここでも石破政権の手腕が問われている。

(田村建光)

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