夏の参院選を巡り、国民民主党の候補者選びが揺れている。有力候補予定者として有名人の名前が次々とあがるものの、その都度、賛否が渦巻いているのだ。その筆頭は元衆院議員の菅野志桜里氏だろう。
菅野氏は元検察官で、09年の衆院選で旧民主党公認として愛知7区から初当選。その後3期務めたが21年は不出馬、弁護士活動などに専念していた。そんな菅野氏の国政時代の評価は真っ二つに割れていたという。野党関係者が言う。
「彼女を一躍有名にしたのは、16年に待機児童問題が大きな社会問題となり、その苦しみを綴った『保育園落ちた 日本死ね』の匿名ブログを国会で取り上げて、当時の安倍晋三首相をたじたじにさせたこと。一方、批判も多い。民進党幹事長抜擢目前で発覚した不倫疑惑です。17年に週刊文春がW不倫疑惑を報道したこともあってか、幹事長職抜擢は流れました。菅野氏は疑惑を否定し、党籍も旧国民民主党に移しながら議員を続けましたが、その後、不倫相手とされた男の元妻が20年に自死していたこと、さらに菅野氏による『国会議員パス』の公私混同なども批判されました」
そんな菅野氏に続いて候補者として話題となったのは、元格闘家の須藤元気氏。須藤氏は19年参院選に立憲民主党から出馬し初当選したのち、立民を離党し、無所属に。24年の衆議院東京15区補欠選挙、同年10月の衆院選にも出馬したが僅差で敗れている。政治アナリストが指摘する。
「知名度は抜群で、国民から立てば当選は固い。問題は、須藤氏が新型コロナウイルスのワクチン接種に否定的な立場を示してきたこと。国民民主党はワクチン接種を含む新型コロナ対策に力を入れてきただけに、真逆の意見の人を候補に選べば有権者は混乱してしまう」
国民民主党の夏の参院選目標は改選4議席から4倍の16~20議席、「比例1000万票」とされている。そのため、多少の批判も覚悟で芸能人、元職、新人と多方面にわたり候補者を募っているという。その一方で懸念されているのが、拙速な候補者選びによる「身体検査不足」だ。4年前の不倫が発覚し、党員資格停止となった平岩征樹氏も昨年の衆院選に当選したばかりだった。
ところで、冒頭の菅野氏の正式候補発表は4月23日にも行われるはずだったようだが、一部報道で情報が流れると、「殺害予告が入り、警察に届け出る騒動も勃発した」(政治部記者)。加えてSNSでも批判が殺到した。そのためかどうか、国民は正式決定を延期したという。ただ、国民の躍進には楽観的な関係者もいる。
「産経新聞社とFNNの4月最新調査では比例投票先として国民民主党が13.3%で自民に次いでいる。しかも、18~29歳と50代ではトップ。参院選後は、国民民主が連立に加わる可能性も高く、玉木総理どころか、菅野大臣の可能性も出てきた」
参院選を巡る候補者の動きから目が離せない。
(田村建光)