新千歳空港より断然札幌市内に近い!「丘珠空港」が新たな「北海道の空の玄関口」となる日

 北海道の空の玄関口と言えば新千歳空港だが、所在地は千歳市の郊外で、札幌から約40キロも離れている。だが、札幌市内にも民間機が離発着する空港がある。札幌中心部から北東約6キロの地点に位置する札幌丘珠(おかだま)空港だ。

 現在はこの呼び名で広く知られているが、これはあくまで通称。正式名称は「札幌飛行場」で、陸上自衛隊との共用空港だ。歴史は古く、旅客機の運航が始まってすでに60年近く経つ。

 現在は稚内、利尻島、釧路、女満別、中標津、函館、奥尻島の道内各地のほか、青森、三沢、秋田、新潟に就航。また、季節限定で松本、静岡、名古屋(小牧)にも飛んでおり、24年度の乗降客数は57万5206人。新千歳空港の2482万6500人には遠く及ばないものの、前年度比プラス31%と大幅に増えている。

 同空港の滑走路は1500メートルの1本だが、これを1800メートルに延伸する計画があり、札幌市は今年度に方向性を示す予定だ。仮に延伸が正式決定した場合、30年までの完成を目指しており、空港ターミナルも現在のほぼ倍の規模に建て替える方針という。

 ちなみに北海道新幹線の札幌延伸も、当初は30年度末の開業を目指していたが、複数箇所のトンネルで掘削工事が難航。今年3月に提出された国の有識者会議の報告書では、新たな開業時期の見通しを38年度末としている。それだけに丘珠空港の滑走路延伸への期待は大きい。

 ちなみに、フジドリームエアラインズ(FDA)が運行する松本、静岡、名古屋(小牧)便が季節運航なのは、現在使用する機材では冬季の離発着に対応できないから。しかし、1800メートルであれば通年運航も可能になる。さらに、LCC各社を含む、複数の航空会社が使用する中型ジェット機のA320-200も、雪の降らない季節なら離発着できる。つまり、本州各地からの新路線や増便が可能になるわけだ。

 とはいえ、空港周辺は住宅地のため、滑走路延伸による騒音対策など配慮すべき課題が多いのも事実。それでも札幌にアクセスする選択肢が増えることに期待を寄せる関係者は少なくないのである。

(高島昌俊)

ライフ