瓶入り牛乳が次々と販売終了へ…明治・森永・小岩井も撤退、背景に需要減と供給難

 宅配や銭湯などでお馴染みの瓶入り牛乳の販売終了が相次いでいる。

 乳業メーカーの明治は2月25日に「明治牛乳」や「明治コーヒー」などの販売を3月末に終了することを発表。需要が減っているほか、瓶の製造が減り安定した調達が難しくなっていることがその理由という。明治牛乳は1928年に発売し、100年弱販売してきたが、4月以降は紙容器に切り替えるという。

「森永乳業は去年、宅配向けの牛乳など7つの瓶商品の販売を終了。小岩井乳業は2021年に瓶製品の製造・販売を終了し、紙パックでの販売に切り替えました。販売を終了した理由について、森永は客の瓶返却の手間を減らすことや、瓶の回収や洗浄のための輸送やエネルギーの効率を見直したこと、小岩井は需要の低迷と商品の製造ラインの老朽化を挙げていました」(情報誌ライター)

 森永は1929年から、小岩井も明治時代から瓶牛乳の販売を続けていたそうで、長い歴史のある瓶牛乳が次々と姿を消しているわけだが、一方、瓶入りの需要が根強い商品もあるようだ。

「1965年に発売された大塚製薬の『オロナミンCドリンク』は、昔から茶色い瓶で販売していますが、今後も継続するようです。茶色にはビタミンを光から守る意味があり、加えて、茶色瓶は各所で回収された茶色瓶をリサイクルして作っているからだとか。またこの茶色瓶に愛着を持つファンも多いので、茶色瓶を変更する予定はないそうです」(同)

 またガラス瓶のラムネも近年、海外で人気があるという。

「ラムネのガラス瓶の製造数は2012年に約3800万本だったのが、2022年は約1億1400万本と激増。その9割が海外への輸出用といいます。ただ、瓶やビー玉などが資材不足で、特にビー玉を作るメーカーが国内に2社しかなく、今後に課題を抱えている状況です」(同)

 やはり銭湯の湯上がりには瓶牛乳をゴクゴク飲みたいものだが、それができなくなるのは寂しいことだ。

(鈴木十朗)

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