女子ゴルフ「打倒!渋野日向子」の黙殺包囲網(2)契約メーカー内の序列争い

 ただし鈴木と比嘉には、他の誰よりも渋野に負けられない理由があるという。ゴルフライターが明かす。

「実はこの3人、クラブ契約が同じメーカーなんですよ。帽子中央のエンブレムがおそろいの『PING』。ですから『ニトリレディス』で同組になったのは、主催者側の粋な計らいでもあったわけです。とはいえ、報道陣やメーカー関係者から見れば、ヒヤリとさせられる出来事だった。理由は、メーカー内の序列争いであり、それは来季の契約にも関わってくるからです」

 各道具メーカーには、広告塔としての顔が存在する。引退しても人気者の宮里藍(34)であれば「ブリヂストン」、男子プロの二枚看板の松山英樹(27)は「ダンロップ」で、石川遼(28)が「キャロウェイ」と、プロ選手にとっても、まさにトップオブトップの証しでもある。

「渋野は今年から契約したばかりですが、PINGと契約する男子プロからも『あの子は誰? 今年のツアーで複数回勝っても驚かない逸材だね』という声が聞かれたし、3月の開幕戦で比嘉が優勝、2戦目を鈴木が制し、そして5月の国内メジャー戦で渋野が初優勝を飾った直後には、PINGの関係者からも『3人でツアー10勝もある』と、笑顔がこぼれていたんですが‥‥」(ゴルフライター)

 そこに、渋野の42年ぶりの世界メジャー制覇。ヨーロッパ仕様のPINGのロゴ入り帽子が人気を呼び、国内でも特別販売が行われて完売するほどのしぶこフィーバーとなった。

「藍ちゃん以来の出来事ですからね。帽子だけではなく、クラブの売れ行きも絶好調。結果として、あっという間に渋野が人気、実績ともに鈴木を抜き去り、看板プレーヤーになってしまったんです」(スポーツ紙デスク)

 しかし、ここで実績に合わせて、渋野、鈴木、比嘉に序列を変更すればいいというものではない。

「クラブの調整スタッフにしても、契約プロの数だけいてマンツーマンで支えるというわけじゃない。女子プロで専属が付いているのは鈴木ぐらい。契約金にしても5000万円ぐらいです。もし渋野が看板となれば、新たに専属スタッフを付け、かつ鈴木以上の契約金を捻出する必要が出てきてしまう」(ゴルフライター)

 結果、早くも渋野の移籍話が浮上してしまっているというのだ。

「石川と契約するキャロウェイが最右翼候補です。女子プロでは上田や、9月に6年目でプロ初優勝した柏原明日架(23)がいますが、渋野に1億円の契約金を提示すると噂されています。渋野サイドにしても、金銭よりも鈴木や比嘉に対して気を遣う状況を避けたいという思惑もある。『ニトリ─』で5位だったのに、スポーツ紙の記事のボリュームは優勝した鈴木よりも渋野のほうが大きかった。鈴木の口から『どうせ私のこと書かないでしょ』と恨み節も聞かれましたからね」(ゴルフライター)

 渋野「包囲網」からは、ますます目が離せない。

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