PayPay特需に沸いた「ビックカメラ」がなぜ減益!?

 昨年末に行われたスマート決済サービスPayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン第一弾」で多くの客が殺到し、“勝ち組”とも言われた家電量販店の「ビックカメラ」。しかし、10月10日に発表された19年8月期連結決算では売上高が8940億円と好調だったものの、営業利益は229億円の前年同期比15.2%減、経常利益は258億円の11.5%減となり、増収ながら減益だったことが明らかになった。
 
「PayPayはその後も何度か20%還元キャンペーンを行っていますが、昨年末の第一弾は利用金額の20%(1回の上限5万円)が全員に還元され、当選すれば全額キャッシュバックという大盤振る舞いだったため、高級家電を求めてビックカメラに客が集中したのです。その結果、18年12月の売上高は例年の20%以上にのぼったといいます」(社会部記者)
 
 にもかかわらず減益となった要因には、ネット通販事業強化のための物流への投資や、連結子会社である「日本BS放送」の業績が伸び悩んだことなどが挙げられているが、ビックカメラの宮嶋宏幸社長は18日の決算説明会で、意外にもPayPayのキャンペーン自体が減益の要因になっていたことを匂わす発言をしているのだ。
 
「宮嶋社長はPayPayの『100億円あげちゃうキャンペーン第一弾』で多く売れた商品が『値引き率の低いApple製品やゲーム』だったと語り、『もともとPCの粗利率は高くないが、中でも粗利水準の低いApple製PCの販売が好調だったことで、売上全体の粗利率に大きな影響を及ぼした』と説明していました。要するに、キャンペーン中に売れた商品が低採算商品ばかりだったため、売上は伸びたものの利益はそれほど出なかったというわけです」(経済ジャーナリスト)

 キャンペーンの反動で今年1月の売り上げは前年よりも落ち込んでおり、「ビックカメラ」は決してPayPay勝ち組ではなかったわけだ。

(小林洋三)

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