42年ぶりの海外メジャー制覇で沸き起こった「しぶこフィーバー」は、収まる気配がない。だが、そこはプロの世界。黄金世代のライバル勢が目の色を変えて打倒・渋野日向子（20）に燃えている。すでに意外なところで、バチバチのバトルのゴングが鳴っていたのである。
今年8月29日に開幕した「ニトリレディス」の報道席は、重苦しい空気に包まれていた。LPGA（日本女子プロゴルフ協会）関係者が振り返る。
「初日の渋野の組は18年賞金ランク3位と4位で、日本人ワンツーの鈴木愛（25）と比嘉真美子（26）という注目の組み合わせでした。ところがラウンド中、3人が並んで歩くことはなく、会話を交わすシーンさえほとんどなかった。それこそ、スタート時の握手と挨拶、スコアの確認ぐらいでしたね。あの陽気な渋野が語りかけられないようなピリピリとした雰囲気が流れ、ラウンド後の渋野は『気、遣ったわ〜』と苦笑いしていた」
賞金女王候補の鈴木＆比嘉の「黙殺包囲網」とも映る光景が、予選ラウンドの2日間にわたり続いたとあって、報道陣は慌てまくった。スポーツ紙デスクが苦笑する。
「3日制の大会なら2日目から順位ごとの組み合わせとなりますが、4日制では2日目も初日と同じ組み合わせだけに、記者泣かせの大会でしたね。前日までの鈴木は『渋野さんに注目が行き、いい意味でほったらかしにしてくれると、私は回りやすい』と笑っていたし、比嘉にしても『女子ツアーをメインとなって盛り上げてくれていると思う。私も、そんなプレーがしたい』と話していたので、プレー以外でも3人で観衆を沸かせてくれると思っていたんですが‥‥」
ところが、いざ渋野と顔を合わせると、賞金女王だけではなく、来年の東京五輪代表争いも演じているだけに、鈴木も比嘉も思わずライバル心を剥き出しにしてしまったようだ。
「渋野が全英女子オープンで栄冠を手にする中、予選落ちしていた日本人選手は3人。鈴木と比嘉は、その屈辱を思い出してしまったのかも‥‥。もう1人の畑岡奈紗（20）も『日向子ちゃんが（メジャーで）勝って悔しい』ときっぱり、本音を吐露していたほどですからね」（スポーツ紙デスク）
年間獲得賞金ランキングでは現在、1億円を超える渋野が2位、鈴木が4位、比嘉は16位と差がついている。世界ランクは4位の畑岡をトップに、渋野11位、鈴木26位、比嘉52位、上田桃子（33）が55位と続く。国内6番手となる60位の河本結（21）もまた、「目標の東京五輪出場のためにも、来季は全米ツアーに挑戦する」と宣言。渋野への並々ならぬライバル心をのぞかせ、一発逆転を狙っているのだ。
